整形外科と災害外科
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小児上腕骨外顆骨折の治療経験
瓜生 拓也坂井 健介吉田 健治山下 寿田中 憲治吉松 弘喜神保 幸太郎田中 順子中村 秀裕本多 弘一井手 洋平後藤 琢也永田 見生
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2010 年 59 巻 3 号 p. 564-568

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抄録

小児上腕骨外顆骨折に対して,tension band wiring(以下TBW)法を用いた手術治療成績の検討を行った.2000年1月から2007年12月までにTBWを用いて当院で手術を施行した小児上腕骨外顆骨折全88例中,他の合併損傷がなく,かつ術後1年以上経過観察し得た40例(男33例,女7例)を対象とした.年齢は平均5.3歳(2-11歳),経過観察期間は平均29.3か月,抜釘時期は術後平均17.7週であった.骨癒合率は100%,肘関節可動域およびcarrying angleは健側と有意差を認めなかった.上腕骨顆部は外顆幅および外顆長で健側と比べ有意に増加を認めており,外顆部過成長の関与が示唆された.軽度の内反肘は2例に合併したが,追加の手術を要することはなく,その他感染,異所性骨化,成長障害,神経麻痺等の合併は認めなかった.TBW法による内固定は本外傷に対し極めて有用であると思われた.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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