2010 年 59 巻 3 号 p. 610-612
はじめに:多発脊椎骨折患者の治療を経験したので報告する.症例;統合失調症で近医通院中の36歳女性.2009年5月,5階階段踊り場から墜落し,当院救急室に搬送.来院時shock vitalであり,血管造影,塞栓術実施.塞栓術後,Vitalは安定し,ICU入室.C2ハングマン骨折,L1粉砕骨折,脊髄損傷(来院時FrankelB→ICU入室後FrankelC),不安定型骨盤骨折AO分類typeC2(左仙骨恥骨骨折),TH6,7,8圧迫骨折,両側血気胸あり.受傷11日目,TH11~L3後方固定術,C1,2後方固定術,仙骨プレート固定術3か所の一期的手術を実施.出血1000 ml,全手術時間7時間9分であった.術後4日目抜管,5日目に精神科一般病棟へ転棟.リハビリ継続し,FrankelC,自己導尿訓練中の状態で,術後58日目にリハビリ病院へ転院.術後3カ月目では,平行棒歩行,6ヶ月目ではロフストランド杖1本での歩行可能と,良好な結果を得た.まとめ;早期の一期的な手術により,早期リハビリ可能となり,良好な結果につながった.