整形外科と災害外科
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胸椎圧迫骨折後に重篤な麻痺をきたした脊髄硬膜外血腫の1例
樽角 清志森 英治植田 尊善前田 健弓削 至河野 修高尾 恒彰坂井 宏旭益田 宗彰宿利 知之久保 勝裕林 哲生芝 啓一郎
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2010 年 59 巻 4 号 p. 739-741

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抄録

圧迫骨折後に続発する脊髄硬膜外血腫の報告は極めてまれである.今回,T11圧迫骨折に続発した脊髄硬膜外血腫により重篤な両下肢麻痺を呈し緊急手術となった1例を経験したので報告する.症例は83歳男性.平成21年5月,脚立から転落し午前11時頃前医に搬送された.前医入院時には両下肢麻痺はなく,T11圧迫骨折を認めたため安静・臥床を保っていたが,次第に下肢しびれや脱力感が出現し21時30分頃には両下肢完全麻痺状態になっていることが判明したため当センター緊急搬送となった.搬送時は両下肢完全麻痺状態であり,X線,CTではT11破裂骨折ではなく圧迫骨折を認めた.MRIではT11からL1までの硬膜外背側にT1 iso,T2 highとlowが混在する腫瘤を認めた.圧迫骨折に伴う硬膜外血腫を疑いT10-L1までの血腫除去,後方固定術を施行したが,麻痺の回復は得られなかった.椎体圧潰に伴う遅発性麻痺と異なり硬膜外血腫によるものはまれであるが念頭に置く必要がある.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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