抄録
当院において07年4月以降2年間で大腿骨頚部骨折に対して股人工骨頭置換術を53例施行,うち術後早期感染を5例(9.4%)に発症した.他の報告である0.7~3.8%と比較し感染率が高い結果であり,感染発生因子につき検討した.感染群5例と同時期に施行した非感染群44例の比較を行った.待機日数,合併症などの危険因子,術前血液検査,抗凝固療法,手術時間・出血量,周術期抗生剤について後ろ向き調査を行った.結果は,各項目において感染群と非感染群に有意差を認めなかった.感染群と非感染群の比較における検討では感染発生因子を明らかにできなかったが,手術時間や強力な抗凝固療法の関与を考えた.