整形外科と災害外科
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当科における後骨間神経麻痺の治療経験
角田 憲治浅見 昭彦石井 英樹吉原 智仁田中 博史重松 正森
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2011 年 60 巻 1 号 p. 69-71

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抄録

過去5年間に当科で治療を行った特発性後骨間神経麻痺9例(男性4例,女性5例,平均年齢62.1歳,平均経過観察期間11.7か月)の治療成績を報告する.3例は保存的治療で軽快し,手術的治療を行ったのは6例であった.3例に対し神経線維束間剥離のみを行い,残りの3例は神経線維束間剥離に加え,一期的に腱移行術を行った.神経線維束間剥離のみを行った3例はいずれも発症から約10か月で手術が行われ,全例MMT4以上に改善を認めた.一期的に腱移行を行った3例のうち,2例はMMT4以上に改善したが,糖尿病,頚髄症を合併した1例は回復が悪かった.麻痺に先行する疼痛を伴った症例は33%であった.後骨間神経の所見でくびれを認めた症例はなかったが,神経の色調の変化を3例に認めた.発症後約10か月の経過観察が妥当であるが,合併症がある症例や高齢など回復が期待できない場合は一期的な再建も考慮してよいと思われた.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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