整形外科と災害外科
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60 巻 , 1 号
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  • 金沢 正幸, 中島 康晴, 山本 卓明, 馬渡 太郎, 本村 悟朗, 岩本 幸英
    2011 年 60 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    目的:Tantalum porousはタンタルを母材とした新しい多孔質金属であり,その良好な生体親和性から人工股関節(THA)の表面加工に応用された.今回その臼蓋コンポーネント(TPC)を用いたTHAの成績を報告する.方法:対象は2004.1~2005.1までのTMCを用いた初回THA例35例のうち死亡例3例,追跡不能例1例をのぞいた31例32関節(男性7例,女性24例).手術時年齢は60.8歳,観察期間は63.2ヶ月である.臨床評価はJOA score,画像評価はインプラントの弛みの有無,radiolucencyの出現,gap fillingなどで行った.結果:JOA scoreは術前46.7点から最終調査時84.1点に改善した.TPC周囲へのRadiolucencyの出現や弛みを認めた例はなく,再置換例はなかった.術直後1 mm程度のgapを認めた8関節は術後1年以内にすべてfillされた.Fillingまでの術後期間は平均5.2ヶ月であった.結論:TPCはその高いscratch効果のため,臼蓋母床とのgapを生じやすいが,術後早期にfillされた.TPCを用いたTHAの中期成績は良好であった.
  • 屋良 貴宏, 富永 俊克, 藤 真太郎, 山本 久司, 片岡 秀雄, 黒川 陽子, 笈川 哲也, 松島 年宏, 城戸 研二
    2011 年 60 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】人工股関節置換術(以下THA)において,モジュラーネックをもちいた症例について短期成績を報告した.【対象】男性19例,女性23例,前側方アプローチ38例,後外側アプローチ4例.変股症34例,RA 2例,大腿骨頭壊死6例であった.【検討項目】臨床項目は,JOAスコア,可動域,術中術後合併症,画像項目は,Stemのアライメント,Gruen分類に基づくStem周囲の所見とした.【結果】JOA score,可動域は良好な結果を認め,脱臼などの合併症はなかった.画像項目でも明らかな異常は認めなかった.【考察】インプラントの設置が困難な症例では,モジュラーネックで術中に前後捻の選択ができればより脱臼率を軽減できる.よってモジュラーネックは症例を選んで使うことにより,前後捻,オフセットの調節が容易で,安定性を獲得することができる有用なオプションの1つである.
  • 加茂 健太, 甲斐 睦章, 高妻 雅和, 牧野 晋也, 由浅 充崇
    2011 年 60 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに・目的】大骨頭を用いた人工股関節全置換術(以下THA)の特徴として,術後脱臼頻度が低い,関節可動域の広さなど安定性の高さが挙げられている.当科における大骨頭使用経験,短期成績の報告に併せて32 mm径群と比較する.【対象】2009年10月から12月に施行したPrimary THA 11股に対しretrospectiveに調査した.女性10名,男性1名であり.平均年齢は71.6歳,平均BMI 23.1 kg/m2だった.【結果・考察】全例,MIS後外側アプローチにて行い,大骨頭を使用した.平均皮切長は106.5 mmだった.フォロー期間中(術後平均76.4日),脱臼例は0例だった.屈曲角度は術前87.7度から術後104度と有意に改善を認めた(P=0.014).可動域制限の著明な症例では,32 mm径群と比し,術中整復困難であり,皮切延長や部分的な筋解離など追加処置を必要とした.
  • 吉田 紘二, 加藤 圭彦, 田口 敏彦
    2011 年 60 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    整形外科診療において,頸部疾患に随伴する後頭部痛をしばしば経験する.これまでに頚性頭痛の要因として,椎間関節性疼痛,頚椎アライメント異常や不安定性など様々な報告があるが,未だ一定の見解を得ていない.今回我々は後頭部痛の一因として,上位頚椎椎間板性疼痛の関連痛に伴う頭痛と考えラットを用いた研究を行ったので報告する.対象はWistar-Rat 220~360g 6匹を用い,Nembutal麻酔を腹腔内投与(4 mg/kg)した.頚部前方の椎体前面を露出しエバンスブルー溶解液を静脈注射した.さらにカプサイシン1 μgを椎間板前方に投与した.ラットの頚部後方解剖は人間に類似し,C2の後根終末が大後頭神経となっていた.6例中2例においてカプサイシン投与後,大後頭神経領域が選択的に染色され,椎間板性疼痛の関連痛になり得る可能性が示唆された.
  • 西田 周泰, 加藤 圭彦, 今城 靖明, 木村 皇太郎, 河野 俊一, 田口 敏彦
    2011 年 60 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【目的】Brown-Séquard症候群は,脊髄の半側に病変がある場合に起こる症候群であり,有限要素法を使用して病態を検討した.【方法】灰白質,白質及び軟膜からなる三次元脊髄モデルを作成した.平板状因子により,脊髄半側に前後径の10,20,30%の静的圧迫を加えた.【結果】静的圧迫では応力の上昇は軽度であったが,まず圧迫側の灰白質及び前索に応力が上昇した.その後圧迫側の側索及び後索に応力が上昇した.非圧迫側の後索の応力上昇は軽度であった.【考察】脊髄前後径20%の圧迫では,灰白質及び前索に応力上昇が認められ,髄節症状と感覚異常が出現すると考えられた.30%の圧迫では,側索及び後索にも応力の上昇を認め,痙性や深部覚異常が出現すると考えられた.一方,非圧迫側の応力の上昇は軽度であった.【結論】我々はFEMを使用し,BSSの応力解析を行った.
  • 森下 雄一郎, 大田 秀樹, 内藤 正俊, 松本 佳之, ファン ジョージ, 酒井 翼, 竹光 義治, 木田 浩隆
    2011 年 60 巻 1 号 p. 20-23
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は,microendoscopic discectomy(MED)の際,術中に未診断の3例のconjoined nerve root症例を経験した.過去一年間で総78例の腰椎椎間板ヘルニア症例にMEDを施行した.術前の画像・神経学的診断にてconjoined nerve rootの診断がついた症例はなかった.3/78例(3.85%)に術中所見にてconjoined nerve rootを認めた.3例とも男性症例で,L5-S1高位の椎間板ヘルニアであった.全例,Neidre分類type 2AのS1 conjoined nerve rootであった.全例,術後の経過は良好であった.術者は,脊椎手術の際,常に神経根異常走行についての存在を考慮しながら治療に当たる必要がある.また,術中に神経根異常走行の存在を診断した際は,近位根分岐部までの除圧を十分に行い,空間的余裕を得た上で手術操作を継続すべきである.
  • 谷島 伸二, 矢倉 知加子, 林原 雅子, 谷田 玲, 近藤 康光
    2011 年 60 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    骨軟骨腫は原発性骨腫瘍の中では発生頻度が高い良性腫瘍で,四肢長幹骨の骨幹端部に好発するが,脊椎に発生することはまれである.今回胸椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は16歳男性である.野球の練習中に左膝崩れを生じ,当院の救急外来を受診された.初診時は膝半月損傷を疑い,精査を行ったが,膝関節に異常を認めなかった.その後両下肢に脱力感を生じ歩行困難となった.脊髄疾患を疑い精査を行ったところ,第8胸椎上関節突起に骨腫瘍を認めた.腫瘍は脊柱管内に突出し,脊髄を高度に圧迫していた.歩行障害が進行し,腫瘍切除を施行した.術後は両下肢の痙性は残存しているが,歩行障害は徐々に改善している.病理診断は骨軟骨腫であった.
  • 井ノ口 崇, 阿久根 広宣, 進 悟史
    2011 年 60 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    胸椎後縦靭帯骨化症にたいし後方除圧固定を行い術後短期成績が良好な2症例を報告する.症例1.65歳女性.右下肢のしびれで発症し2ヵ月後に歩行不能となった.下肢の深部腱反射亢進と病的反射の出現および筋力低下をみた.T1/2,T4/5レベルにOPLLをみとめ後方進入脊髄前方除圧術(大塚法)を併用し手術を行った.術後下肢麻痺は改善し2本杖で歩行している.症例2.54歳女性.下肢のしびれで発症し1年後に歩行不能となった.下肢の深部腱反射亢進および筋力低下をみた.T5-10にかけてOPLLおよびOYLをみとめたためT510後方除圧固定術を行った.術後下肢筋麻痺は改善し1本杖で歩行している.胸椎後縦靭帯骨化症に対する後方法は手術侵襲や広範な病変への対処などの点で優れている.今回の症例において胸椎後縦靭帯骨化症に対する後方除圧固定の術後短期成績は良好であった.後彎変形の進行など慎重な経過観察が必要であると思われる.
  • 小寺 隆三, 矢野 寛一
    2011 年 60 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    ロコモティブシンドローム(ロコモ,運動器症候群)を広く周知させるために講演から雑誌およびテレビによる広報までさまざまな活動を行った.まず,当院の所属する大分東医師会で,一般医師にロコモの概念について講演を行った.次に,10月の骨・関節の日に市民講座でロコモの講演を行った.また,一般市民に対して雑誌及びテレビを通じての広報活動も行った.さらに院内では外来・入院患者を対象にロコモについての講演会を,地区公民館にて一般市民を対象に講演を行った.当院で臨床研修を行っている研修医に対しては適時,運動器疾患と要介護との関連について講義を行っている.これらの活動を通じてロコモという言葉はまだ一般的には知られていないと感じた.この言葉を浸透させるためには今後も我々整形外科医による幅広い活動が必要と思われる.
  • 荻本 晋作, 北村 歳男
    2011 年 60 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    鏡視下腱板修復術(ARCR)の導入初期の89例90肩(男性56肩,平均61.9歳,女性34肩,平均66.6歳)において,アンカーの逸脱によりARCRから直視下手術に切り替えた5症例について調査検討した.男性の3肩(平均60歳)は3腱断裂あるいは広範断裂であった.女性の2例は中断裂が1肩,大断裂が1肩であり,ともに70歳以上の高齢者であった.男性では断裂サイズが大きい症例,女性では高齢の場合,術中にアンカーの逸脱による大結節部の破壊が起こり,ARCRを維持出来なくなる可能性があり,術中に十分な検討を行うことや,アンカーを用いない手術方法などの準備が必要である.
  • 西野 雄一朗, 鳥越 雄史, 染矢 晋佑, 山口 貴之, 前田 和成, 岡野 邦彦, 本川 哲
    2011 年 60 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    上腕骨近位端骨折に対してロッキングプレートを用いて骨接合術を行った症例の術後成績について検討したので報告する.対象は2007年9月から2009年11月に手術を行った9例で,男性1例,女性8例,平均年齢61.3(38~76)歳であった.骨折型はAO分類でtype A3:2例,type B1:2例,type B2:2例,type C1:2例,type C2:1例であった.手術はdeltopectral approachで行い,プレートはPHILOSプレートを用いた.全例で骨癒合を認めたが,術後2例に大結節の上方転位を認めた.術後合併症は感染を1例,CRPSを1例に認めた.最終観察時のJOA scoreは平均79.7(59~97)点であった.ロッキングプレートは粉砕骨折に対しても強固な安定性が得られ有用であるが,解剖学的整復とともにプレートの適切な位置への設置が重要と思われた.
  • 二宮 直俊, 古庄 耕史
    2011 年 60 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    上腕骨近位部骨折は,全骨折の4~5%を占め,骨粗鬆化の進んだ高齢者に発生しやすい.女性では男性の2倍以上に発生し,年齢別では60代から上昇しはじめ,80代女性で最も頻度が高いと言われている.今回,当院で行った髄内釘とロッキングプレートの手術治療成績を,文献的考察を加えて報告する.【症例】当院で,2004年4月から2009年12月までの間に加療した22症例22骨折を対象とした.髄内釘使用群(以下N群)が13例,ロッキングプレート使用群(以下LP群)が9例であった.各症例の術後機能評価を,日整会肩関節評価基準(以下JOA score)を用いて評価した.合併症についても調査した.【結果】JOA scoreは平均85.2点,N群86.9点,LP群82.8点であった.合併症として,骨片の再転位を2例に認め,うち1例に偽関節を生じた.骨頭壊死,腋窩神経麻痺,術後感染症,再骨折は認めなかった.【考察】髄内釘手術の利点は,皮切が小さく,骨折部の展開の必要性がないため,術後の疼痛も軽度であることが多い.また,手術手技が比較的容易で,手術時間も短いが,スクリュー後退,骨頭穿破,結節転位,骨壊死など合併症が起こりうる.ロッキングプレートは優れたangular stabilityを有し,粉砕の強い例や骨粗鬆の強い症例でも骨接合を可能とし,良好な成績が報告されているが,スクリューのカットアウト,骨頭穿破,内反変形が生じる可能性がある.当院での治療方針は,まず,骨片の転位が小さく,リハビリの受容が可能ならば,石黒法に準じた保存療法のひとつである早期運動療法の適応を考える.骨片の転位がある場合や,認知症でリハビリの受容ができない場合は手術加療の適応と判断している.手術加療については,骨折型や年齢により,小侵襲の骨接合術と,骨折部を展開してPHILOSを使用しての骨接合術,および人工骨頭挿入術を選択する.小侵襲の骨接合術は,腱板損傷がある場合は髄内釘かminimally invasive plate osteosynthesis(最小侵襲プレート固定法,以下MIPO)を行い,場合により腱板修復を追加する.損傷のない場合はNCB-PH® plate(Zimmer社製)によるMIPOを選択する.
  • 朝倉 透, 進 訓央, 大江 健次郎, 松浦 恒明
    2011 年 60 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    鎖骨遠位端骨折では近位骨片が上方に,遠位骨片が下方に転位するが,小さな遠位骨片をいかに固定するかが大きな課題である.これまでは肩鎖関節を跨いでk-wireやplateで固定する方法も行われてきたが,術後の折損を予防するために運動制限を要した.これに対して肩鎖関節を跨がずに遠位骨片にscrewと前後から挟み込むhookを併用できるScorpion plateは,この課題を解決する目的で開発された.当院でScorpion plateを用いた鎖骨遠位端骨折の3例について報告する.症例の平均年齢は59.0歳.男性1例,女性2例.Craig分類のtype 2Bが1例,type 5が2例であった.内固定には3例ともScorpion plateに鎖骨遠位端からのk-wireを2本追加し,type 5の2例にはさらに烏口鎖骨靱帯に付着する骨片をfiber wireで締結した.術後経過はいずれも良好で骨癒合が得られた.
  • 児玉 有弥, 井上 周, 守屋 有二, 加原 尚明, 宮本 正, 藤原 紘郎
    2011 年 60 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は肩鎖関節脱臼に対して,AO clavicle hook plateを用いて手術を行い,1年以上追跡調査可能であった10症例(男性9例,女性1例,手術時平均年齢60歳)の術後成績及び問題点と有用性について検討したので報告する.術後成績の評価には肩関節機能評価(JSS)を用いた.また術後の整復状態と肩峰に対するフックのかかり率を術後のレ線にて評価した.最終診察時のJSSは平均93.4点であった.合併症はフック周囲の骨erosionが6例,抜釘後亜脱臼が2例であった.術後の整復状態は,レ線評価でnull-reductionが4例,over-reductionが6例であった.亜脱臼をきたしたどちらも2例はnull-reductionであった.肩峰に対するフックのかかり率の結果は,50%以下の3例では全例術後に骨erosionを認めた.抜釘後の亜脱臼の予防にはover reductionが重要である.フックのかかりが浅いと高率に肩甲骨のerosionを起こすため,術中イメージを使用しテンプレートで確認した上でインプラントサイズと設置位置を決定する必要がある.
  • 猿渡 知行
    2011 年 60 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【目的】逆行性指動脈皮弁は指尖部に比較的大きな皮膚欠損がある際に有用であるが特に動脈のみの皮弁とするRDAIF(reverse digital artery island flap)では鬱血をきたしやすい欠点がある.この静脈還流不全に対処するためにヘパリン局注によるchemical leechを行った.【方法】術後鬱血を来した7例7指に対しchemical leechを行った.ヘパリン0.1 ml(100単位)を皮弁に一日2回局注した.【結果】全例鬱血の改善を認め完全生着した.【結論】Chemical leechは医用ヒルを用いるいわゆるmedical leechに比べ容易に施行できる.またchemical leechを併用すれば,静脈環流不全をきたしやすいRDAIFもより安全に行えると考える.
  • 才田 啓友, 安永 博, 武田 研, 渡邊 伸彦
    2011 年 60 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    遠位橈尺関節症に発生した伸筋腱皮下断裂の7例8手について,術前のX線像をもとに検討し,発生素因と発生機序,性差や疼痛の原因などに考察を加えた.個体のもつ素因としてulnar plus varianceと尺骨切痕の背側傾斜があり,これらの頻度の高い男性に腱断裂の発生も多い.本症の多くは尺骨切痕の背側傾斜とplus varianceの尺骨頭に加齢に伴い関節症が生じた結果,腱の滑膜炎,血行障害,機械的摩耗が起こり,断裂が生じる.術前に疼痛を訴える症例が少ない理由は,背側に脱臼した尺骨頭と手根骨間の突き上げ効果が回避されることによる.疼痛があっても軽度であり,腱断裂が生じてから長期を経て受診することが多いため,治療は尺骨頭の処置と腱移行術を主体に再建術が必要となる.
  • 角田 憲治, 浅見 昭彦, 石井 英樹, 吉原 智仁, 田中 博史, 重松 正森
    2011 年 60 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    過去5年間に当科で治療を行った特発性後骨間神経麻痺9例(男性4例,女性5例,平均年齢62.1歳,平均経過観察期間11.7か月)の治療成績を報告する.3例は保存的治療で軽快し,手術的治療を行ったのは6例であった.3例に対し神経線維束間剥離のみを行い,残りの3例は神経線維束間剥離に加え,一期的に腱移行術を行った.神経線維束間剥離のみを行った3例はいずれも発症から約10か月で手術が行われ,全例MMT4以上に改善を認めた.一期的に腱移行を行った3例のうち,2例はMMT4以上に改善したが,糖尿病,頚髄症を合併した1例は回復が悪かった.麻痺に先行する疼痛を伴った症例は33%であった.後骨間神経の所見でくびれを認めた症例はなかったが,神経の色調の変化を3例に認めた.発症後約10か月の経過観察が妥当であるが,合併症がある症例や高齢など回復が期待できない場合は一期的な再建も考慮してよいと思われた.
  • 村岡 邦秀, 尾上 英俊, 木村 一雄, 斉田 光, 林 武, 野田 大輔
    2011 年 60 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    舟状骨偽関節に対して手術治療を行い良好な経過を得たので報告する.1995年~2009年までに手術治療を行った舟状骨偽関節14例のうち3ヶ月以上経過観察できた11例を対象とした.性別は男8,女3例で手術時平均年齢は34歳であった.受傷から手術までの期間は平均166日で,平均経過観察期間は14ヵ月である.手術はまず偽関節部の掻爬を髄腔内まで十分に行い,1辺のみ皮質骨を残した長方形の腸骨ブロックを採型しておく.次に髄腔内の陥凹部に海綿骨チップを充填し,腸骨ブロックの皮質骨側を掌側に向けて打ち込み棒で間隙に打ち込む.最後にAcutrakまたはHerbert screwで内固定を行う.術後は2~4週のthumb spica cast固定を行い,適宜装具を装着させた.全例で良好に骨癒合し,疼痛や手関節の可動域制限などの臨床症状は認めていない.
  • 土屋 邦喜, 川口 謙一, 河野 裕介, 川村 秀哉
    2011 年 60 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    頚部神経根症に対し椎間孔開放を施行した10例を検討した.8例が顕微鏡下,2例が内視鏡下で施行された.全例症状は術直後より改善が得られ術後1週間ではほぼ消失し,平均改善率は92.3%と良好であった.手術時間は平均116分,出血量は平均27gであった.出血量を減少させるためにはステップごとの血管の処理が重要であると考えられ,このことは安全に除圧を遂行するためにもきわめて重要である.起こりうる問題点として椎間関節の過剰切除およびそれに伴う不安定が挙げられ,除圧すべき対象の十分な解剖学的把握が重要である.頚部神経根症に対する椎間孔開放術は手術自体が比較的小侵襲であること,術後外固定を要しないこと,前方固定に比較して隣接椎間障害出現のリスクが低いことより多くの頚部神経根症に対して第一選択になり得る術式と考えられた.
  • 勢理客 久, 屋良 哲也, 山川 慶, 金谷 文則
    2011 年 60 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    今回,私たちは頚胸椎移行部に脊椎症性脊髄症を生じた4例を経験したので報告する.症例は男3例,女1例で年齢は各々54,62,65,69歳であった.全例歩行障害を認め,MRIでC7/T1高位に脊髄の圧迫を認め,同高位でT2強調画像にて髄内高輝度を呈していた.感覚,巧緻障害,四肢腱反射および病的反射,四肢筋力について検討を行った.全例cervical line以下の感覚障害を認めたが,上肢,手指にしびれを認めなった.1例に右手巧緻障害を認めた.上肢深部腱反射は全例正常で,下肢深部腱反射は3例で亢進していた.Hoffmann反射は全例陰性,Babinski反射は2例で陽性であった.2例で右手指開排低下を認め,うち1例は右手指屈曲低下を認めた.これらの結果より歩行障害を有する患者の診断において頚胸椎移行部も考慮にいれるのが重要と思われた.
  • 吉松 弘喜, 吉田 健治, 神保 幸太郎, 田中 憲治, 坂井 健介, 田中 順子, 中村 秀裕, 瓜生 拓也, 本多 弘一, 後藤 琢也, ...
    2011 年 60 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    高齢者頚椎外傷において,頚椎・頚髄損傷例増加に伴い,特有の問題が指摘されている.今回,当院救急外来を受診した頚椎外傷5836例中,65歳以上の高齢者801例について調査した.意識障害21%,重症頭部外傷15%,四肢骨盤骨折16%,他部位の疼痛を有する症例27%であった.また,頚椎・頚髄損傷を62例(7.7%),非骨傷性頚髄損傷を24例(3.0%)に認めた.脊柱管狭窄,OPLL合併については,それぞれ頚椎・頚髄損傷例,非骨傷性頚髄損傷例共に有する割合が高かった.今回の結果より,救急外来における高齢者頚椎外傷診察の難渋性が示唆された.高齢者の頚椎外傷は高齢者外傷の特殊性と高齢者頚椎・頚髄損傷の特徴を理解して診療にあたる必要がある.
  • 木村 皇太郎, 加藤 圭彦, 寒竹 司, 今城 靖明, 鈴木 秀典, 田口 敏彦
    2011 年 60 巻 1 号 p. 89-91
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆性脊椎椎体骨折では遅発性神経障害や偽関節による疼痛の遷延化などの後遺障害が問題となるが,それらに対し脊椎後方除圧短縮固定術を施行し良好な成績を得たので報告する.症例は24例(男性6女性18),手術時年齢は平均75歳,経過観察期間は24ヶ月.罹患骨折椎体はTh12が11例,L1が8例と胸腰椎移行部に多かった.結果は臨床所見では旧JOAスコア(胸椎11点満点)で術前5.6点が術後7.8点,腰背部痛はVASで術前59.7から術後33と改善.遅発性神経障害合併18例のFrankel分類は,術前C 16例D 2例が術後C 9例D 9例となり,新たな麻痺の発生はなかった.画像所見では局所後弯角が術前16.8であったのが,術直後が5.5,そして最終調査時が8.5であり矯正損失3度と矯正角度は維持され,また全例骨癒合した.以上から短縮術は後弯の矯正と維持,骨癒合,臨床症状などを改善した.
  • 豊田 耕一郎, 椎木 栄一, 栗山 龍太郎, 藤澤 武慶, 末冨 裕, 田中 浩
    2011 年 60 巻 1 号 p. 92-94
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    腰部神経根ブロックを側臥位で試行した症例を検討して報告する.対象は神経根ブロック337例中13例である.男性11例,女性2例と男性に多く,平均年齢65才である.全例腰椎椎間板ヘルニアで,治療は手術10例,保存的3例であった.側臥位で行った理由は腹臥位,斜位困難が13例全例であったが,MRI撮像困難が6例で,上位外側ヘルニアが多かった.治療前JOAスコアは12点で最終24点であった.JOABPEQは治療前疼痛関連障害が16,腰椎機能障害が33,歩行機能障害が13,社会生活障害が25,心理的障害が45で,最終でそれぞれ75,78,59,53,53と心理的障害以外は改善効果が高かった.40歳以上の腹臥位で根ブロック可能なヘルニア手術例(17例)との比較ではJOABPEQの歩行機能障害のみ側臥位法症例が有意に低かった.
  • 近間 知尚, 生田 光, 横山 信彦, 高橋 祐介, 北村 貴弘, 仙波 英之, 志田原 哲
    2011 年 60 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    目的:腰椎椎間板ヘルニア(以下LDH)及び腰部脊柱管狭窄症(以下LCS)による腰部神経根症に対する選択的神経根ブロック(以下SNRB)の有効性を調査した.対象:2008年4月~2009年11月にSNRBを施行した78例(LDH 49例・LCS 29例)を対象とした.方法:SNRBは手術適応のある患者に原則1回行い,外来にて透視下に施行した.臨床成績は最終観察時にMacnabの判定基準にて評価した.各項目(年齢・罹病期間・各時期のVAS score・効果持続時間)と臨床成績との相関関係を評価した.結果:有効率はLDH 47%,LCS 24%とLDHが有意に高かった.手術移行率はLDH 39%,LCS 59%であった.有効群では24時間以上効果が持続する症例が有意に多かった.結語:神経根症を有するLDH及びLCSに対し,SNRBは手術療法前に一度は試みてもよい保存療法であると考えられた.
  • 籾井 健太, 中家 一寿, 緒方 淳也, 福元 真一, 田縁 竜一
    2011 年 60 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は嚥下障害を伴う巨大頸椎前方骨棘に対する骨棘切除後に一過性反回神経麻痺をきたした1例を経験したので報告する.症例は84歳男性.5-6年前から嚥下障害が出現.上部消化管内視鏡検査,頭部MRIで異常なし.嚥下造影検査でC3-7前方骨棘による嚥下障害を認め,前方アプローチでC3-7骨棘切除術を施行.術直後から喀痰の増加,嚥下困難感と嗄声が出現.後咽頭腔幅の増大と嚥下協調運動異常を認め,胃管留置し,嚥下機能訓練を継続した.その後,嚥下造影検査で後咽頭腔幅の漸減を認めるものの,摂食を開始することができない状態.喉頭鏡検査を行い,左反回神経麻痺を認めた.徐々に嚥下機能は改善していき,左斜前屈位で摂食が可能であることを確認.胃管を抜去し,摂食再開,退院となった.以後,外来フォローアップし,158日目に治癒となった.
  • 富村 奈津子, 川内 義久, 鮫島 浩司, 吉野 伸司, 川添 泰臣, 小宮 節郎
    2011 年 60 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病患者の脊椎手術では術後の脊柱変形の進行や骨癒合不全,隣接椎間障害が原因で再手術になることが多いとされる.今回我々も治療に難渋したパーキンソン病患者の腰椎手術を経験したので報告する.症例1:66歳女性.LDHに対しMEDを施行し,症状は一旦軽快したが5カ月後に腰痛が再燃し,変性側弯が進行,立位保持が困難となりPLIFを施行した.症例2:67歳女性.LCSと診断され他医で3回手術を受けたが,左大腿部痛が出現,MRIでL2/3レベルの狭窄を認め椎弓切除術を施行したが,術後7日目に腰痛が再燃,MRIで脱出ヘルニアを認めたためPLIFを施行した.症例3:68歳女性.L3の圧迫骨折の診断で保存的治療を受けていたが,3カ月後両下肢痛が出現し歩行困難となり,PLFを施行したが術後L1に圧迫骨折を生じた.パーキンソン患者の脊椎手術はその手術方法,範囲の決定が難しく,慎重な検討が必要である.
  • 力丸 俊一, 井口 貴裕, 佐々木 宏介, 前 隆男, 佛坂 俊輔, 野口 康男
    2011 年 60 巻 1 号 p. 109-111
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    2001年から腰椎変性疾患に対しsemi-rigid screw and rod systemを用いた制動術を行ってきた.蝶番状であるscrew/rod間ではなく,椎弓根内でscrew折損が生じた.手術はHall4点固定器を用い,体位は腰椎前屈位が多い.上・下椎体にscrewは平行に挿入され,rodが直線状のため,X線側面像で「コ」ないし「ヨ」の字に挿入される傾向であった.Screw折損の原因として,各椎体にscrewが平行に挿入され,直線状rodと締結されるため,常に椎間は前屈位に保持され,術後の過剰な前・後屈で椎弓根内のscrewに過度のストレスが加わり折損が生じたと推察した.以後,上・下screwを矢状面で放射状に挿入し,前弯rodを用いて,screw間に軽度圧縮を加えて締結する工夫を行った.Screw折損率は工夫前,80例中9例(11.3%),工夫後,36例中0例(0%)であった.Screw折損防止に腰椎前弯を意図したscrew挿入・前弯rodが望まれる.
  • 塚本 正紹, 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 森口 昇, 依田 周, 江頭 秀一
    2011 年 60 巻 1 号 p. 112-116
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】下腿外傷後に発症する鉤爪趾(claw toe)は,比較的稀な合併症である.今回,足関節骨折後にclaw toeを来した症例を経験した.【症例】67歳女性.農作業中に転倒し,重機に左足関節部を轢かれて受傷.足関節内果骨折を認めた為,骨折に対し観血的骨接合術を施行.術後2週間外固定後,部分荷重より歩行を開始.術後4週で退院.しかし術後6週頃よりclaw toeが出現し,歩行障害を来した為,術後3.5ヶ月で手術を行った.術中長母趾屈筋腱の筋腱移行部のやや近位で強く癒着した瘢痕組織を認め,これを切除し腱剥離を行うと,足趾の変形が改善された.【考察】claw toeの原因は様々あるが,本症例では直達損傷による長母趾屈筋の癒着が原因と考えられた.長母趾屈筋は長趾屈筋に交叉枝を出し,全趾の屈曲に影響することが多い.そのため長母趾屈筋腱の癒着剥離のみで変形を矯正でき,良好な成績を得ることができた.
  • 崎村 幸一郎, 白石 公太郎, 黒木 一央, 衛藤 正雄
    2011 年 60 巻 1 号 p. 117-121
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    遠位脛腓靭帯結合が破綻した足関節果部骨折に対して脛腓間positioning screw固定を行った症例の治療成績について検討した.対象は12例で,男性10例,女性2例,受傷時平均年齢38歳(16歳~68歳),骨折型はLauge-Hansen分類のS-ER型が1例で,P-ER型が11例であった.脛腓間のpositioning screwは術後6~8週で抜去し,荷重歩行を許可した.全例で解剖学的整復が得られており,再転位や遷延癒合を起こすことなく良好な骨癒合が得られた.足関節周囲の痛みや不安定性が残った症例はなかったが,2例に軽度の関節可動域制限が残存した.骨傷と靭帯損傷が適切に診断できれば足関節果部骨折の治療成績は良好であるが,脛腓間の離開や不安定性は単純X線写真のみでは評価できないこともあるため,術中ストレスによる不安定性の評価が重要である.
  • 井上 三四郎, 菊池 直士, 齊田 義和, 伴 光正, 井ノ口 崇, 内村 大輝, 浦島 太郎, 進 悟史, 阿久根 広宣
    2011 年 60 巻 1 号 p. 122-124
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    70歳以上のアキレス腱皮下断裂に対して,保存的加療を行い良好な成績を得た2例を報告する.【症例】症例は2例とも72歳の男性である.1人は猫を追いかけようとして,もう1人は側溝を踏み外して受傷した.ともに虚血性心疾患に対し,経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス術の既往があり,抗凝固薬を内服中であった.うち1人は糖尿病の既往歴もあった.ともにギプス固定と装具を用いた保存的治療を行った.最終観察時,再断裂なく日常生活上問題ない.【考察】アキレス腱皮下断裂の治療は,保存的治療と手術療法に大別されるが,ともに甲乙つけがたいのは周知の事実である.患者に両者のメリット・デメリットを説明したところ,2人とも保存治療を選択した.その理由は,周術期合併症への危惧と日常生活レベルに戻れれば十分という高くないゴールであった.
  • 森口 昇, 古市 格, 村田 雅和, 宮田 倫明, 塚本 正紹, 依田 周, 江頭 秀一, 川内 恵美, 井上 真紀子, 佐藤 忠司
    2011 年 60 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    化膿性筋炎は骨格筋に生じる稀な細菌感染症であり,仙腸関節炎とともに化膿性股関節炎との鑑別が重要となる.症例1は4歳女児で,3日間持続する発熱,右下腹部痛,右股関節痛を主訴に来院.化膿性股関節炎を疑いMRIを行ったが,罹患部位は股関節周囲の筋層にあり,化膿性筋炎と診断された.同日,血液培養検査とともに同部の膿瘍穿刺を試み,筋層部より膿を採取した.細菌培養検査で起炎菌が肺炎球菌と判明し,抗生剤を投与後,症状改善.症例2は12歳女児で,主訴は発熱,右殿部痛.MRIで,仙腸関節および股関節周囲筋群にSTIRで高信号を認めた.血液から黄色ブドウ球菌が検出され,安静と抗生剤による治療を開始.抗生剤に反応し,臨床所見の改善を認めた.発熱および局所の疼痛・腫脹を認めた場合,化膿性股関節炎との判別も含め化膿性筋炎,仙腸関節炎を念頭に置き,診断,治療を行うことが有用である.
  • 勝嶌 葉子, 門内 一郎, 川野 彰裕, 渡邊 信二, 柳園 賜一郎, 帖佐 悦男
    2011 年 60 巻 1 号 p. 130-134
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】外反扁平足は小児期によくみられる足部疾患であり,手術法の一つとして踵骨延長術がある.今回われわれは両外反扁平足患者に対し踵骨延長術を行い,その前後で歩行分析評価を行った.【対象・方法】9歳女児.両外反扁平足の診断で,当センターにて保存的加療を行っていた1例.アニマ社製三次元動作分析システムMA2000,フォースプレートMG1090を用いて評価し,術前・術後での分析結果を成人正常データと比較検討した.【結果・考察】時間距離因子と運動学的・運動力学的要素の改善をみとめた.足部アライメントの改善が膝過伸展の誘因となった.膝過伸展について今後注意深い経過観察を要する.
  • 門内 一郎, 柳園 賜一郎, 川野 彰裕, 勝嶌 葉子, 渡邊 信二, 帖佐 悦男
    2011 年 60 巻 1 号 p. 135-138
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    先天性内反足における後内方解離術後の臨床歩行評価は,三次元歩行分析装置を用いて客観的な解析が可能である.今回我々は,当センターにて施行された先天性内反足における後内方解離術後の症例に対し,三次元歩行分析装置を用いて歩行分析を行ったので,文献的考察を加えて報告する.対象症例は,先天性内反足患者6例8肢(男児3例,女児3例),手術時年齢は平均1.3歳,術後経過観察期間は平均7.5年であった.コントロール群と比較して,時間距離因子では,歩行速度,歩調,ストライド長の差は認められなかった.運動学的評価では,歩行全周期を通して足関節背屈傾向が認められた.運動力学的評価では,足関節モーメントおよび足関節パワーの低下が認められた.これらのパラメータの異常が下肢痛などの二次的な症状を引き起こす可能性も示唆されており,今後の注意深い経過観察が必要であると思われた.
  • 大山 哲寛, 池田 天史, 宮崎 真一, 土田 徹, 川添 泰弘, 武藤 和彦, 舛田 哲朗, 白石 大偉輔
    2011 年 60 巻 1 号 p. 139-143
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    初期治療で感染を鎮圧し得ず,治療に難渋した症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.術前のMRIで骨幹端部に骨髄炎の所見を認めなかったが,関節液貯留と上腕骨小頭側骨端線内に輝度変化部位を認めた.受診同日緊急手術施行した.滑膜炎は軽度で可及的に滑膜切除施行.術前MRIで骨端線内の輝度変化のある部位は同定できず,未処置とした.術中培養結果は黄色ブドウ球菌であった.術後再MRIで骨端線内の輝度変化部の拡大,骨髄炎の所見を認め,第35病日に関節包切除と上腕骨小頭側骨端線内の腐骨切除によって感染の鎮静化を得た.本症例は発症初期の時点でMRIにて骨端線内の輝度変化を認めており再手術時に骨端線部に腐骨が存在していたことから骨端線部が感染源と考えられた.骨髄炎型の化膿性関節炎の場合,初期治療は通常の滑膜切除,洗浄では不十分となる可能性があると考えられた.
  • 松本 善企, 内田 仁, 北村 歳男, 高井 浩和, 中村 厚彦
    2011 年 60 巻 1 号 p. 144-147
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    原発性骨粗鬆症の患者に非外傷性に発症した胸骨骨折の1症例を経験したので報告する.症例:80歳,女性.多発性胸椎腰椎圧迫骨折の既往あり.2010年1月,外傷の既往なく,前胸部の激しい疼痛を自覚したため当院を受診した.初診時,胸骨に強い圧痛を認め,胸骨単純X線像にて胸骨体の上1/3の部位に骨折を認めた.また病的骨折を疑わせる所見は見られなかった.躯幹骨二重X線吸収(DXA)法による骨量測定値は腰椎にて若年成人平均値(YAM)の58%,大腿骨にてYAMの38%とWHOの骨折リスクはHigh Riskであった.経過:非外傷性胸骨骨折と診断し,保存療法が可能と考えバストバンド固定のうえ入院加療を行った.その後疼痛は漸減した.考察:本症例の発症機序として原発性骨粗鬆症に起因する後弯変形を原因に胸骨に持続的なストレスがかかったことによって非外傷性に骨折が生じたものと考えられた.
  • 岸本 勇二, 岡野 徹, 豊島 良太
    2011 年 60 巻 1 号 p. 148-151
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    抗B型肝炎ウイルス薬(adefovir)服用に起因するFanconi症候群のために骨軟化症にいたった1例を報告する.48歳,男性.1年半前から胸部痛が出現,さらに半年前から右足関節痛と右股関節痛を生じ,骨軟化症の疑いで当科紹介となった.既往歴:5年前よりB型慢性肝炎に対しadefovirを服用継続中.2年前に原因不明の腎機能障害を指摘.検査所見:血清ALP高値,P低値,1,25(OH)2ビタミンD低値,Cre高値,尿中Ca/P/尿酸排泄亢進,糖尿,汎アミノ酸尿,などを認めた.腎生検:尿細管基底膜の肥厚と,拡大あるいは委縮した尿細管の混在像を認めた.腸骨生検:類骨の顕著な増加と,石灰化障害を認めた.以上より,Fanconi症候群とそれに続発した骨軟化症と診断した.またadefovir開始後に腎機能障害やALP上昇が生じたという経過と,過去の副作用報告から,Fanconi症候群の原因はadefovirと判断した.その後,Adefovirの減量と,活性型ビタミンD3製剤の投与を行い,改善傾向を認める.
  • 徳永 琢也, 中村 英一, 鬼木 泰成, 岡元 信和, 田中 あづさ, 西岡 宏晃, 水田 博志
    2011 年 60 巻 1 号 p. 152-156
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    【目的】成人に発症した距骨骨髄炎に対し,抗菌薬封入ハイドロキシアパタイトブロック(HAブロック)を使用した1例を経験したので報告する.【症例】46歳,女性.主訴は左足関節痛である.現病歴は,誘因なく発熱と左足関節痛が出現し,歩行困難となったため,当科を受診した.初診時,左足関節には腫脹,熱感がみられた.関節液より肺炎球菌が検出され,距骨骨髄炎と診断し,緊急手術を行った.手術所見では距骨後外側皮質に骨孔がみられ,膿汁様の流出を認めた.掻破後の骨欠損に対し,抗菌薬封入HAブロックの充填を行った.術後9ヶ月の時点で距骨の圧潰や,感染の再燃はない.【考察】成人の距骨骨髄炎は稀であるため,その治療法に一定の見解はない.抗菌薬封入HAブロックは優れた強度と薬剤徐放能を有し,骨欠損の補填と感染の沈静化が同時に可能であり,荷重部である距骨においても有用な治療法の一つであるものと考えられた.
  • 松本 伸也, 杉田 健, 宮里 朝史, 川畑 亜矢人, 濱崎 将弘, 吉野 興一郎
    2011 年 60 巻 1 号 p. 157-160
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    Papineau法に準じた海面骨移植を行い,創閉鎖を得られた症例を経験したので報告する.【症例】18歳男性.50ccバイク走行中,交差点内で自動車と衝突し,数メートル飛ばされた.両脛骨開放骨折(右:Gastilo III-B,左:Gastilo II)を認め,両側モノチューブ創外固定,洗浄を行った.左は創閉鎖できたが,右は創閉鎖できず,開放創として管理.創辺縁から壊死が広がり,デブリドマンを繰り返し,脛骨も露出,創部からMRSAが検出され,皮弁は行わず,露出した脛骨表面をDecorticationして,Papineau法に準じた海面骨移植を行った.移植後は軟部組織欠損部に肉芽増生がおこり,上皮化が得られた.
  • 森脇 伸二郎, 木戸 健司, 國司 善彦, 越智 康博, 高橋 洋平
    2011 年 60 巻 1 号 p. 161-163
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    2003年9月~2010年3月に行った39例の脛骨遠位端骨折の治療成績について報告する.対象は男性23例,女性の16例で平均年齢は52.5歳で,骨折型はAO分類Aが33例,Bが3例,Cが3例であった.手術方法は髄内釘が29例,plate固定が10例であった.手術時間は髄内釘は平均103.5分,plateは平均116.5分であった.出血量は髄内釘で平均82 ml,plateは平均123 mlであった.免荷期間は髄内釘は平均25日,plateは平均44.7日と有意差を認めた.術後合併症は血行不良による大腿切断,腓骨神経麻痺,肺塞栓症,皮膚壊死,術後感染,偽関節がそれぞれ1例あった.骨折型により髄内釘の遠位スクリューの刺入が困難となる場合があり,プレート固定の適応となることもあるが,Cannulated screwを使用し,髄内釘の適応を広げていく事を検討すべきと考えられる.
  • 生田 拓也, 荻本 晋作
    2011 年 60 巻 1 号 p. 164-167
    発行日: 2011/03/25
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    大腿骨骨幹部の創外固定後にMIPO法にてconversionを行い良好な結果を得ており報告した.症例は2例である.手術時年齢は25歳および45歳で,創外固定装着の目的は大腿骨骨幹部骨折および骨延長術であった.2例とも創外固定の抜去とともにlocking plateを用い,MIPO法を併用し内固定を行った.術後は免荷装具を作成し免荷歩行を行った.術後4-5週より荷重を開始した.骨癒合は順調に得られた.大腿骨の創外固定後に固定法のconversionを行う場合,髄内釘を用いることができれば術後の免荷が不要でメリットは大きい.しかしながらピン刺入部感染の問題や骨折部における骨片の転位および延長仮骨部の状態等により髄内釘固定を躊躇することがある.そのような場合に本法は柔軟に対応でき,まさに小侵襲で固定が可能であり,有用な方法であると考えられた.
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