2011 年 60 巻 2 号 p. 173-175
80歳以上の高齢者に対してTKAを施行し,その短期成績について検討した.対象は2006年3月から2010年3月に行った38例45膝.手術時平均年齢は83.4歳,男性11例女性27例,平均経過観察期間は22.6ヶ月.ROM,JOA score,FTA,コンポーネント設置角度,周術期合併症,既往歴について調査した.また同時期に施行した80歳未満の症例148膝を対照群として比較した.JOA scoreは42.7点が73.7点に,ROMは14.3~116.5度が,9.8~117.5度に改善された.FTAは189.6度が174.1度に矯正された.合併症は,感染の為インプラントを抜去し関節固定に至った症例が1例,肺血栓塞栓症で死亡された症例が1例あった.内科的合併症を36例に認め,循環器系合併症が28例あったが,高齢者の成績は対照群に比してほぼ同様な成績だった.高齢者では合併症を有していることが多く,予備能力も低下している為,周術期管理を徹底して行うことも重要である.