2011 年 60 巻 2 号 p. 188-192
【目的】膝関節内へ迷入した金属片の2例を経験したので報告し,どのように迷入したのか考察する.【症例1】33歳,男性.工具用釘打ち機で誤って釘を膝蓋骨に刺入.釘には3mm程の釘連結用ワイヤーが2本付着しており,抜釘後もこれが骨内に残存した.骨を開窓し摘出を試みるが更に深部へと入り込み関節内へ達した.関節内迷入を想定しておらず,後日関節鏡視下に摘出を行うが困難を極め,膝窩筋腱孔をポンピングすることでようやく吸引除去できた.【症例2】38歳,男性.10年前に膝蓋骨骨折の手術を受け,周囲締結ワイヤーが残存したままであった.立ち上がり動作で急に膝痛出現,歩行困難となる.レントゲンでワイヤーの折損とその一部の関節内への迷入が確認できた.鏡視では迷入したワイヤーを比較的容易に発見でき,鉗子で把持して摘出した.残存するワイヤーの一部は関節内と交通があり,同部から折損ワイヤーが迷入したものと思われた.