2011 年 60 巻 2 号 p. 193-197
今回我々は,中年男性の膝関節に生じた軟骨損傷に対してMosaic plastyを施行したので報告する.症例は49歳男性.職業は警察の鑑識.明らかな外傷歴はなく,スポーツは趣味でランニングを行っていた.右膝の歩行時痛ならびに膝屈曲時の疼痛増強を認め,日常生活に支障をきたすようになり来院.初診時,内側関節裂隙に疼痛認めた.可動域は0°~130°,大腿周囲径は39 cm(健側41 cm)であった.単純X線では,北大分類2期,FTA:175°(臥位).軽度屈曲位にて大腿骨内側顆に不整像を認めた.MRIでは同部位に軟骨損傷を疑わせる信号変化を認めた.関節鏡では,大腿骨滑車部ならびに大腿骨内側顆,外側顆に広範囲な軟骨損傷を認めた.大腿骨滑車部ならびに大腿骨内外側顆にMosaic plastyを行い,一部ドリリングを併用した.術後6カ月の時点で歩行時痛も改善し,治療は奏功している.