整形外科と災害外科
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産褥期に骨盤部痛で緊急入院となった骨盤輪不安定症(感染例と非感染例):2例報告
城戸 聡中村 哲郎土屋 邦喜川村 秀哉
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2011 年 60 巻 2 号 p. 216-220

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抄録

出産後に骨盤部痛で体動困難となった骨盤輪不安定症(感染例と非感染例)2例を報告する.【症例1】37歳女性,帝王切開分娩後2週頃より左骨盤部痛出現した.その後疼痛増悪したため救急外来受診した.WBC 10100,CRP 6.13と炎症反応は亢進していたが発熱はなかった.Xp検査では恥骨結合に2 mm以上の左右差を認め,骨盤輪不安定症と診断した.安静,疼痛コントロールで軽快した.【症例2】35歳女性,分娩後1週で骨盤部痛のため救急搬送された.体温38.2度,WBC 12000,CRP 16.7と炎症反応も亢進していた.Xp,造影CT,造影MRI検査施行し,骨盤輪不安定症,化膿性仙腸関節炎,化膿性恥骨結合炎と診断した.安静および化学療法で保存的に治療し,経過は良好である.【まとめ】妊娠中や出産後に腰背部痛や骨盤部痛を訴える女性は多い.そのほとんどは自然軽快するが,化膿性仙腸関節炎や化膿性恥骨結合炎などの報告もあり,その診断・治療には十分な注意を払う必要がある.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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