2011 年 60 巻 2 号 p. 322-324
特発性大腿骨頭壊死症(以下ION)は股関節の機能を著しく損う事があり,好発年齢である青壮年に対しても人工物置換術を行わなければならないことがある.当科で人工股関節全置換術(以下THA)及び人工骨頭置換術(以下BHA)を行った92例123股を対象とし,患者背景および術後成績を検討した.男性が58.7%を占め,誘因はステロイド性が多く,年齢は50歳代がピークであった.Type B 1例,Type C-1 54例,Type C-2 8例に対して人工物置換術が行われていた.合併症は脱臼を18股,人工骨頭のcentral migrationを1股に認め,頻回脱臼の1股に再置換術を行った.X線学的評価では重篤なstress shieldingや進行するclear zoneを認めず,implant stabilityは良好であった.当院のIONに対するTHA症例の脱臼率は14.6%とやや高かったが,臨床成績およびimplantの固定性は良好であった.