整形外科と災害外科
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AT III欠損症を合併したKniest症候群女児の両尖足変形に対する周術期経験
吉井 理一郎田中 源幸神囿 純一栫 博則永野 聡吉野 伸司石堂 康弘小宮 節郎
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2012 年 61 巻 4 号 p. 807-810

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抄録

AT III欠損症は常染色体優性の遺伝性疾患である.本症では血栓症を発症する危険率は健常人の10~20倍と高く,通常では血栓症に至らないような外傷,手術,妊娠など軽微な誘因によって引き起こされる.症例は,Kniest症候群にAT III欠損症を合併した7歳の女児で,尖足変形に対して矯正手術を施行した.周術期に血栓予防をすることとなった.術直前はAT III活性80%以上を目標とし,術中はヘパリンを投与した.術後はAT III製剤・ヘパリン投与を投与し,術後5週まで連日のAT III測定を行い,測定値に応じて補充量を調節した.5週後,D-dimer陰性・下肢エコーで血栓を認めなかった.今回の症例でAT III製剤の補充と1週間のヘパリンの持続による抗凝固療法によりAT III欠損症患児の術後5週に及ぶ下肢固定に対しても血栓を生じなかった.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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