抄録
大腿骨近位部骨折に対し入院治療を行った65歳以上の症例67例を調査した.頚部骨折38例,転子部骨折29例であった.保存治療を16例に,手術を51例に施行した.約1年の時点の調査で,57例/67例(85.0%)が生存していた.保存治療群で生存率が11例/16例(68.7%)であるのに対し,手術群で46例/51例(90.1%)であり,有意差を認めた.実用歩行を維持した割合は,33例/67例(49.2%)であった.保存治療群2例/16例(12.5%)であるのに対し,手術群31例/51例(60.7%)であり,有意差を認めた.患者選択にバイアスがあるため,この結果は必ずしも手術の優位性を示すものではない.しかしながら,手術を第一選択とし,次善の策として行なう保存治療の成績は不良であった.