整形外科と災害外科
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当科における化膿性脊椎炎の検討
猪俣 尚規黒木 浩史濱中 秀昭増田 寛樋口 誠二深尾 悠大塚 記史帖佐 悦男
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2013 年 62 巻 1 号 p. 5-8

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抄録

今回われわれは化膿性脊椎炎の検討を行ったので文献的考察を加え報告する.2002年1月から2011年12月の10年間に化膿性脊椎炎と診断し入院治療を行った28例(男性23例,女性5例,平均初診時年齢68.8歳)を対象とし,患者数の推移,罹患高位,起炎菌,同定法,治療成績などについて調査した.本検討では,高齢者が多く,患者数は最近2年で急激に増加していた.罹患高位は,頚椎1例,胸椎10例,胸腰移行部7例,腰椎10例で,起炎菌はMSSAが9例(32.1%),MRSAが6例(21.4%),起炎菌同定率は64.3%で,CTガイド下ドレナージによる生検での同定率が77.8%で最も高かった.治療は,原則保存的に行なったが,膀胱直腸障害や進行性麻痺のある症例には緊急手術を施行した.麻痺残存症例が5例(17.9%)認められたが,感染は全例で沈静化していた.本疾患の治療には起炎菌の同定が極めて重要で,感受性のある抗生剤の十分量の投与が必要で早期の診断と適切な治療開始が予後に大きく影響する.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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