抄録
先行する対麻痺に胸腰椎移行部孝硬膜外膿瘍を合併した症例を経験したので報告する.症例 77歳 男性.主訴:発熱,腰背部痛.既往歴:喘息,高血圧,胸腹部動脈瘤術後対麻痺,腰椎前方固定術後.現病歴:当院内科にて複雑性尿路感染症および外科にて仙骨部褥創に対して加療されていた.入院3カ月時より喘鳴生じ,次第に悪寒戦慄を伴うspike feverが出現.血液培養でMRSAが分離された.その後,突然の胸痛および呼吸困難が生じ,低酸素血症も認めた為,肺梗塞を疑い胸部造影CTを施行したが,肺梗塞を示唆する所見は認めなかった.その際,右胸水貯留とL1/2椎間板炎,腸腰筋膿瘍を認め,MRIを追加したところT11~L2高位の硬膜外膿瘍,L1/2椎間板炎を認め当科紹介となった.経過:即日,厳重な管理のもと全身麻酔下に開窓しデブリドマンを施行した.術中検体培養でMRSAが分離された.術後68日目に抜管.解熱および胸水の改善を得,全身状態は落ち着いた.