2014 年 63 巻 1 号 p. 137-140
近年痛みの疾患概念の変化とさまざまな鎮痛剤や鎮痛補助薬の登場で慢性疼痛治療が大きく変化している.今回,当科にてアセトアミノフェン/トラマドール配合剤を処方した症例について検討した.対象は2011年10月から同年12月まで本剤を処方された患者33例で,調査項目として対象疾患,効果判定,副作用発現などを検討した.結果として本剤は主に腰部脊柱管狭窄症,脊椎圧迫骨折,頸椎術後痛,変形性膝関節症に処方されていた.効果判定として著効例は27.3%,効果あり例は27.3%であった一方,無効例は24.2%であった.また著効例では神経障害性疼痛疾患の割合が多かった.副作用は20%に嘔吐と便秘を認めた.最終的に疼痛軽減し休薬に至った症例は24%であった.トラムセットは依存や乱用が起きにくい薬剤であることからも,慢性疼痛が難治化する前の重要な選択肢の1つと考えられた.