整形外科と災害外科
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先天性腰椎すべり症の1例
小薗 直哉山下 彰久原田 岳渡邊 哲也池村 聡上田 幸輝宇都宮 健白澤 建藏
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2014 年 63 巻 1 号 p. 87-90

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抄録

【はじめに】先天性腰椎すべり症(以下,本症)は上位仙椎または第5腰椎の後方要素の先天異常により生じると提唱されている(Wiltseら).今回,我々は本症を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】11歳女児,主訴は歩行時の姿勢異常であった.神経症状はないが脊柱アライメントの再建を目的に手術を行った(L5/S1 TLIF+L4/5 PLF).slip angleは術前25°→術後11°に改善した.術後,一過性に左L5神経根障害が出現した.歩行時の姿勢異常は改善が得られた.【考察】未熟な脊柱ゆえに手術は躊躇されることもあるが,すべりが高度になるほど手術が困難となり,神経障害などの合併症の危険性も高まる.また,高度な脊柱変形遺残を予防するためにも,自験例のように早期手術に踏み切ることが重要である.手術においてはslip angleの整復による腰仙椎部の後弯矯正が重要である.しかし,過度な矯正はL5神経根障害を来す可能性があり注意が必要である.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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