抄録
比較的まれな,膝十字靭帯にムコイド変性を認めた2症例を経験した.症例(1):51歳男性.誘引なく可動域制限を伴う左膝痛が出現した.診察上,関節水腫を認めた.MRIで前十字靱帯(ACL)は膨化し,T2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.鏡視ではACLは肥厚し内部に黄色粘液貯留を認めた.掻把を行い症状改善した.症例(2):48歳男性.家の掃除後から可動域制限を伴う左膝痛が出現した.診察上,関節水腫を認めた.MRIで後十字靱帯(PCL)は肥厚し,T2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.内部に黄色粘液貯留を認めた.掻把を行い症状改善した.病理診断はムコイド変性だった.ACL,PCLのムコイド変性は部分断裂と誤診されることがあり.注意が必要である.