2014 年 63 巻 2 号 p. 278-283
【目的】反復性膝蓋骨脱臼に対して内側膝蓋大腿靭帯再建術(以下;MPFL)を行った症例のうち成績不良であった3症例4膝の要因について検討した.【対象と方法】平成15年7月1日から平成24年8月14日の間に反復性膝蓋骨脱臼に対してMPFL再建術を行った19症例20膝を対象とし,そのうち術後Crosby and Insall評価でfair to poorであった3症例4膝の成績不良要因として外反膝(FTA),膝蓋骨高位(Insall-Salvati比)の比較検討を行った.【結果】術後fair to poor群のFTAは平均170.5度であり,Excellent or good群の173.8度と比して外反が強く,fair to poor群のInsall-Salvati比は平均1.43であり,Excellent or good群1.12と比して膝蓋骨高位であった.(P<0.05,P<0.005)また,術後成績不良例においてQ angleが平均21.3度と大きい傾向にあり,distal realignmentを追加することでapprehension兆候は消失した.【結論】反復性膝蓋骨脱臼において外反膝,膝蓋骨高位,およびQ angleの大きさはMPFL再建術における成績不良因子であり,そのような症例に対してMPFL再建に加えてdistal realignmentを検討すべきである.