整形外科と災害外科
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有茎液体窒素処理自家骨で再建した上腕骨傍骨性骨肉腫の1例
白瀬 統星前原 博樹當銘 保則田中 一広金谷 文則
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2014 年 63 巻 3 号 p. 638-642

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抄録

右上腕骨傍骨性骨肉腫に対して広範切除術後に有茎液体窒素処理骨で再建術を行った1例を報告する.症例は30歳,女性.4年前より自覚していた右上腕部の腫瘤が増大したため,近医を経て当科を紹介された.単純X線像で右上腕骨近位後外側に隆起する長径約9cmの骨硬化を伴う腫瘍を認めた.MRIでT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,Gdで造影効果を認めた.切開生検術を行い傍骨性骨肉腫と診断された.骨髄内に腫瘍の浸潤が疑われたため術前化学療法を施行した.手術ではin situ preparationにて橈骨神経を温存し,次に上腕骨近位骨幹端部で骨切りをし,腫瘍骨に対して有茎液体窒素処理を行った後に整復しLCPプレートで固定した.術後5ヵ月で骨癒合が得られ,術後9ヵ月の現在,再発転移なく,右肩関節150°挙上可能である.上腕骨の悪性骨腫瘍に対する広範切除では骨・軟部組織の再建法が問題となる.本症例はin situ preparationと有茎液体窒素処理骨を併用した再建術により良好な治療成績が得られた.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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