【目的】臼蓋形成不全股に対する寛骨臼回転骨切り術(CPO)において,CPO前後の骨性被覆を計測し,術前の前方被覆の程度とCPO後の骨性被覆の変化について検討した.【対象と方法】CPOを行った22例23股,全例女性,平均45歳(22~54)を対象とした.3次元解析ソフトウェアを用いて骨頭中心を通る臼蓋の15°毎の放射状断面から臼蓋骨頭被覆角(被覆角)を計測した.臼蓋前方の被覆角が45°未満群と45°以上群に分け,CPO後の被覆角の変化について検討した.【結果】45°未満群は,45°以上群に比べてCPO後の臼蓋前方から上方までの被覆角は,有意に小さかった.CPO前後の被覆角の変化に有意差はなかった.また,両群とも臼蓋の前方側に変化量が大きかった.【考察】前方被覆が小さい症例においても,大きい症例と比較して回転骨片の移動量に差がなく,また,いずれも骨片は前外方へ回転していた.臼蓋形成不全の程度を3次元的に評価し,術前計画を立てる必要があると思われた.