整形外科と災害外科
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大腿骨転子部不顕性骨折の治療経験
樫原 稔
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2015 年 64 巻 1 号 p. 119-121

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抄録

大転子単独骨折6例を含む大腿骨転子部不顕性骨折21例に対して,早期全荷重・離床などのリハによる保存療法を行った.19例で骨折部は転位せずに骨癒合し,2例は骨折部が転位したため内固定術を行った.全身の合併症を生じた3例以外は,ほぼ受傷前の歩行能力を獲得した.MRIで骨折線は後方スライスでは縦方向に,前方スライスでは横方向に小転子より上方に走る傾向にあった.大腿骨転子部不顕性骨折に対して,手術治療は早期除痛・離床目的に行われたり,疼痛遷延例などに行われたりする報告がある.一方,保存療法派においては受傷直後の疼痛や骨折部転位の懸念のため,荷重や離床を遅らせる報告が多い.われわれは,多くの例で受傷前の歩行能力を獲得したり,骨折部が転位したりせずに保存療法が可能であったことから,早期全荷重・離床の保存的治療を原則としている.

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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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