2015 年 64 巻 2 号 p. 249-253
片側仮骨延長法(HCO)における術前後の内側半月板(MM)偏位の変化について検討した.当院にてHCO施行し,術前後のMRI撮影可能であった22例24膝を対象とした.性別は男性7膝,女性17膝で,手術時年齢は平均57.7歳であった.手術では,骨切り部にかかる内側側副靱帯のみ剥離を行い,骨棘には手を加えなかった.これらの症例に対し,同一条件下に撮影したMRI冠状断像にてMM偏位率(MDI)を計測し,術前後の変化が-0.1以下を改善群,-0.1~0.1を不変群,0.1以上変化したものを増悪群とした.MDIは術前平均0.46が術後平均0.51とやや増悪しており,MDIの変化については,改善群0膝,不変群18膝,増悪群6膝,であった.これらはMM後角損傷や関節裂隙の変化との関連は認めなかった.HCOにおける臨床成績の改善には,MM偏位と大きな関連はないものと考えられた.