整形外科と災害外科
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化膿性仙腸関節炎が疑われた1例経験
内山 迪子中原 信一﨑村 幸一郎衛藤 正雄
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2015 年 64 巻 4 号 p. 673-676

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抄録

【目的】化膿性関節炎が疑われ,早期に加療,治癒した仙腸関節炎の1例を経験したので報告する.【症例】49歳女性.1ヵ月前に尻餅をついて殿部痛が出現したが,3週間の保存的治療で軽快していた.数日前より感冒症状出現し,2日後より強い右殿部痛が出現し体動困難となり,近医より当院紹介となった.37.4℃ の発熱があり,血液検査にて炎症反応を認めた.初診時MRIでは右腸骨筋に浮腫性変化があるのみだったが,Pelvic compression testが陽性であったため,化膿性仙腸関節炎を疑い抗菌薬を開始した.治療開始3週間後のMRIでは右仙腸関節に浮腫性変化を認めた.血液培養は陰性であったが,抗菌薬開始17日目で疼痛と炎症反応は改善し,その後内服を2週間継続した.治療開始10ヵ月後のMRIでは右仙腸関節に軽度の変形はあるも,再発なく経過良好である.【まとめ】化膿性仙腸関節炎は比較的希な疾患であるが,発熱,仙腸関節周囲の強い疼痛を主訴とした症例では本疾患も念頭におく必要がある.

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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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