整形外科と災害外科
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成人における大腿骨大転子部に発生したサルモネラ骨髄炎の1例
菅田 耕税所 幸一郎吉川 教恵帖佐 悦男濱田 浩朗
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キーワード: サルモネラ, 骨髄炎, 大転子
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2015 年 64 巻 4 号 p. 677-680

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抄録
サルモネラ菌は腸内細菌科のグラム陰性桿菌であり,一般的に食中毒の原因菌としてしられているが,腸管外病変としてまれに骨髄炎を起こすことがしられている.今回われわれは,成人の大腿骨転子部に発生したサルモネラ菌による骨髄炎1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は27歳男性.主訴は右大腿部痛.右大腿部の歩行時の疼痛出現し,近医X-P上右大腿骨大転子部に透瞭像を認め,骨腫瘍疑われ紹介となった.血液検査,CT,MRI検査にて,骨腫瘍,骨壊死,骨膿瘍が疑われた.骨生検時に骨孔より,膿汁の溢出を認め,細菌塗抹検査にてグラム陰性桿菌を多数認めたため,骨髄炎と判断,掻破・洗浄・抗生剤含有ハイドロキシアパタイトの充填をおこなった.培養よりSalmonella Oranienburg 07型が検出され,サルモネラ骨髄炎と診断した.セフトリアキソン2 g/日×14日間,シプロフロキサシン600 mg/日×14日間の点滴投与をおこない,その後CRPの陰性化を確認し,セフジニル300 mg/日の内服へ変更した.
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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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