抄録
腓骨が脛骨後方に転移し脛骨後面に固定されるBosworth型足関節脱臼骨折の1例を経験したので報告する.症例は27歳男性.原付バイクで走行中に大型トラックと接触しバイクに左足を巻き込まれる形で転倒し受傷.近医にて非観血的脱臼整復困難であり,シーネ固定されて当院搬送となった.当院にて単純X線で左足関脱臼骨折を認め,CTにて腓骨近位骨片が腓骨切痕から後方に脱臼しておりBosworth型脱臼骨折と診断し,同日観血的整復固定術を行った.Bosworth型脱臼骨折は非観血的整復が困難であるため,受傷後可及的早期に観血的整復固定術が必要となる.本骨折は単純X線側面像で距骨が後方脱臼しているにも関わらず,腓骨骨片間の解離が少ないという特徴がある.この特徴的X線所見を知っておくことが早期診断に有用である.また,本骨折を疑った場合にはCT精査を追加することでより正確な診断へとつながる.