整形外科と災害外科
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骨盤輪骨折の初期治療における創外固定の開始時間がその後のHb値に及ぼす影響
井田 敬大田中 潤一倉 明彦金山 博成石倉 宏恭木下 浩一内藤 正俊
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2016 年 65 巻 1 号 p. 146-149

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抄録

【目的】骨盤輪骨折の初期治療では,創外固定により骨折部の安定を速やかに図ることが重要である.今回我々は受傷後3時間以内に創外固定を行った群(早期群)とそれ以上かかった群(遅延群)とを比較して,固定開始時間の違いが術後のHb値に及ぼす影響を検討したので報告する.【対象と方法】2008年2月から2014年12月までに当センターで治療を行った骨盤輪骨折の110例のうち,来院時CPA例や受傷後24時間以内の死亡例,創外固定を初期治療に使用しなかった例,Injury Severity Scoreが40点以上の例,創外固定よりもTAEを先に行った例を除外した30例を対象とした.これを早期群と遅延群に分類し両群間における来院時,第1病日,第7病日のHb値,来院後24時間の輸血量を比較した.【結果】早期群は21例,遅延群は28例であり,第1病日と第7病日のHb値は早期群の方が有意に高かった.輸血量に有意差は認めなかった.【考察】今回の結果から速やかな創外固定の開始が貧血の改善に寄与する可能性が示唆された.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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