整形外科と災害外科
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診断に難渋した軸椎化膿性脊椎炎の一例
白石 和輝橋川 健村田 雅和坂本 和隆黒木 一央河野 昌文
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2016 年 65 巻 2 号 p. 249-252

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抄録
76歳男性.主訴は強い後頸部痛.頸椎MRIで軸椎骨転移が疑われ,当科紹介受診.PET/CTにて軸椎および周辺に高集積あるも,全身に原発巣を認めず,全腫瘍マーカーも陰性であった.入院して追加検査を行うも確定診断には至らず,化膿性脊椎炎を疑い,抗菌薬の点滴を開始した.しかし,フォローの造影MRIにて病変の拡大に加え,椎体前面にも液体貯留像あり.耳鼻科に依頼し,口腔内から生検を行ったが,診断には至らず.その後の造影CTでも骨破壊進行を認めたため,頭蓋頸椎後方固定術(CO-C3/4)とMcgraw法(C1-C2)を施行し,口腔内より再度生検を行った.培養の結果,Streptococcus anginosus(以下,S. anginosus)が検出された.術後も抗菌薬治療(CTM→TAZ/PIPC→CTRX→LVFX→FMRX)を継続し,炎症所見や画像検査および症状の改善を認めた.S.anginosusS.milleri群の1つであり,全身の化膿性疾患に関与する菌として注目されている.同菌群による化膿性脊椎炎の報告は稀であるが散見され,起炎菌になり得ることを念頭におき治療をすることが重要である.
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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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