2016 年 65 巻 2 号 p. 331-334
【目的】腱板断裂と滑膜性骨軟骨腫症を合併した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】73歳男性.2か月前に転倒し右肩を打撲し受傷.右肩拳上時の痛み,脱力及び夜間痛があり,近医にて保存的に加療されていたが改善なく加療目的に当院紹介.初診時JOA score 74点,肩可動域は屈曲150°,外旋90°,内旋Th12と軽度可動域制限があり,単純X線像とCT像では肩峰下骨棘と肩峰下前方に円形の石灰化陰影を複数認め,MRIで棘上筋腱の中断裂を認めた.その後も症状持続したため,鏡視下にて腱板修復術と遊離体摘出及び滑膜切除を行った.病理所見では軟骨細胞の増殖を認め滑膜性骨軟骨腫の診断であった.術後1年でJOA score 100点,骨軟骨腫の再発は認めていない.【考察】腱板断裂と滑膜性骨軟骨腫症を合併した症例に鏡視下に腱板修復,遊離体摘出,滑膜切除を行い良好な結果を得た.