2016 年 65 巻 3 号 p. 440-442
糖尿病患者数は年々増加傾向にあるが,糖尿病患者では血糖値を適切に管理することが感染制御に重要である.血糖管理の方法には,スライディングスケール法,強化インシュリン療法,人工膵島などがある.スライディングスケール法は簡便ではあるが厳密な血糖管理は難しく,強化インスリン療法は血糖値を厳密に管理できるものの低血糖のリスクや頻回の血糖測定による負担が大きい.一方で人工膵島は血糖値を一定に維持することが可能で周術期の血糖管理の方法として有用である.今回血糖コントロール不良な1型糖尿病の患者に対して人工膵島を用いて血糖管理を行い,人工膝関節置換術を施行した1例を経験したので若干の考察を加えて報告する.