抄録
ポリオ後遺症に伴い強直変形した重度内反尖足に対して,一期的に変形を矯正し,全足関節固定術を行った1例を経験したので報告する.症例は67歳男性.幼少時にポリオを発症し,麻痺性内反足を合併した.後方解離術による矯正を受けたが再発し,成人になり徐々に内反尖足変形が進行し足背歩行となり,足趾に潰瘍を形成するようになったため当院を受診した.足関節は内反20度,底屈110度で強直していた.変形が強く装具使用は困難と考え,一期的に矯正固定術を行った.手術は,はじめに後方の軟部組織解離を行い,続いてLorthioir-神中法に準じて距骨を摘出し,足関節を底背屈0度に矯正後,摘出した距骨を移植し創外固定を行った.ただし原法と異なり,距骨は海綿骨をチップ状に作成して移植した.術後に皮膚障害および知覚鈍麻を認めたが徐々に改善した.術後4年現在,骨癒合が得られ,痛みなく足底接地で荷重歩行可能となっている.