整形外科と災害外科
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関節鏡所見により保存加療を選択した肩甲骨関節窩骨折の1例
土井 庸直柴田 陽三伊﨑 輝昌櫻井 真黒田 大輔三宅 智野口 貴雄中島 圭
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2016 年 65 巻 3 号 p. 497-501

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抄録

【はじめに】今回我々は,手術時の関節鏡視所見により骨接合施行せず,保存加療を選択し,良好な成績を得た肩甲骨関節窩骨折の1症例を経験したので報告する.【症例】31歳女性.旅行先にてスノーボード中に転倒して左肩を受傷.某医にて左肩甲骨関節窩骨折と診断され,手術目的に当院紹介受診.X線・CT検査にて関節面に約7mmの転位を伴うIdeberg分類typeIIの骨折認め,骨接合を行う予定で,関節鏡を施行した.鏡視所見にて骨折部の不安定性なく,肩甲上腕関節の適合性も良好であった.肩関節の動的・静的安定機構の損傷を認めなかったため,骨接合術は行わず保存加療の方針とした.受傷後6ヶ月,肩関節可動域制限はなく,JOA scoreも100点と良好な成績である.【考察】画像上肩甲骨関節面の転位を認めても,鏡視にて肩甲上腕関節の適合性や制動因子に問題なければ,保存加療でも肩関節の機能低下は来さないものと思われる.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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