整形外科と災害外科
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術前バルーン大動脈弁形成術を行った大腿骨近位部骨折の3例の経験
萩尾 聡松崎 尚志
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2016 年 65 巻 3 号 p. 529-531

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抄録

重度の大動脈弁狭窄症(以下AS)は非心臓手術において周術期の高い危険因子の一つである.ASの姑息的治療として,近年カテーテル治療を用いバルーンにて狭窄部を拡張させるバルーン大動脈弁形成術(以下BAV)がある.早期の手術が重要である大腿骨近位部骨折では術前にBAVを行う事は周術期管理の上で有用であると考えられる.今回我々は大腿骨近位部骨折の術前にBAVを施行した3症例について検討をおこなった.すべての症例で弁口面積の拡大をみとめ,周術期に重篤な合併症や死亡例なく施行可能であった.また待機期間としても全例が他院よりの紹介であったが,入院~BAV施行まで最短1日,BAV施行~手術まで最短2日で可能であり短期間待機での手術が可能であった.重度AS合併大腿骨近位部骨折に対して術前BAVは有用である可能性が高いことが示された.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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