2016 年 65 巻 4 号 p. 723-725
【目的】当科では寛骨臼形成不全に対し1992年より寛骨臼回転骨切り術(Rotational Acetabular Osteotomy以下RAO)を導入し長期間経過観察を行い,その成績について報告を行ってきた.今回当科で両側寛骨臼形成不全に対して片側のみRAO施行された症例のうち,RAO術後10年以上経過観察が可能であった23例を対象とし,病期分類の変化及び臨床所見について比較しRAOの状態と非手術側股関節との関連性について検討した.【方法】上記23例に対して術直後及び,最終観察時の病期分類の変化,臨床所見の変化を比較検討した.病期が進んだものを経過不良群,病期が進まなかったものを経過良好群として比較した.【結果・考察】RAO手術側の術後経過が悪ければ,非手術側の経過が悪化するという両者の関連性が認められた.当科での過去の報告を加味すると,両側寛骨臼形成不全においてRAO手術側と非手術側は互いに関連性があり,両側RAOを施行することで互いに良い影響を与えることが示唆された.