2016 年 65 巻 4 号 p. 738-743
手術的加療を行った上腕骨近位端骨折12例の治療成績及び問題点について検討した.男性3例,女性9例,受傷から手術までの期間は平均6.2日,手術時平均年齢は68.1歳,術後経過観察期間は平均17.3ヶ月であった.10例にロッキングプレート,1例に髄内釘による骨接合術を,AO type C2の1例にリバース型人工肩関節置換術を施行した.手術時間は平均103.6分,出血量は平均136.5 mlであった.最終経過観察時の日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOAスコア)およびneck-shaft angle(NSA)を計測し矯正損失を評価した.全例に骨癒合が得られ,JOAスコアは平均89.1点であった.NSAは最終経過観察時までに平均1.9度の矯正損失がみられたが全て5度未満の損失であった.骨脆弱性のある大結節粉砕骨折例では術後再転位のリスクがあり,後療法を遅らせるなどの注意が必要である.