2017 年 66 巻 2 号 p. 271-273
TKA術後の167例(男15,女152,検査時年齢78.1±7.3歳)を生活様式によりJ群(布団で就寝または床(畳)に座って食事),W群(ベッドで就寝かつイスに座って食事)の2群に分け,臨床成績や身体機能を比較検討した.臨床成績はJOA Score:J群84.8±8.3,W群79.9±9.5,JKOM:J群16.6±16.1,W群25.3±18.8と有意にJ群が良好であった.膝屈曲角度:J群131.2±13.6,W群131.3±10.1(°),L-SMI:J群4.55±0.62,W群4.43±0.63(kg/m2),膝伸展筋力:J群99.1±35.6,W群92.6±32.1(kg),20 cmの台よりの起立が可能であったのはJ群68.4%(13/19),W群47.8%(22/46)で身体機能はいずれも有意差はなかった.和式生活といえば正座や胡座を思い浮かべるが,TKA術後では大多数が床に坐った時は長座位をとっている.床からの起立を適切に行えば膝に過剰な負荷は加わらず,和式(床)生活はTKA術後でも避ける必要はないと思われた.