2017 年 66 巻 2 号 p. 294-298
大腿骨頚部骨折に対し,初回よりS-ROMによる後方アプローチを用いた人工骨頭置換術を行い,その検討を行った.2000年6月より2013年8月にかけて,大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を行い,4週以上の経過観察が可能であった150人156股(男性29人,女性121人,平均年齢81歳)を対象とした.インプラントは,術中X線コントロールおよびトライアルにて,股関節安定性が最も良好となるように,モジュラー構造を利用して脚長,オフセット,前捻角を調整,設置した.術中ワイヤリングなどの追加は5股(3.2%),術後の脱臼は3股(1.9%),深部感染は1股(0.6%)に認められた.脱臼とインプラント設置における脚長,オフセット,前捻角との明らかな関連はなかった.後方アプローチを用いた人工骨頭置換術に対する初回手術に,S-ROMを用いることは有用であると思われた.