2017 年 66 巻 2 号 p. 342-345
市中病院における転移性骨腫瘍に対するデノスマブの治療報告は少ない.2012年からの4年間に当院呼吸器センターを受診した原発性非小細胞肺癌320例中,骨転移と診断され後方視的に3ヵ月以上経過観察しえた40例を対象とした.デノスマブ使用の有無による年齢,肺癌の組織型,病期,骨転移数,観察期間,累積生存率,SRE発生率(脊髄麻痺)とデノスマブ使用後の有害事象について検討した.デノスマブ使用(D群)14例(平均69.1歳),非使用(N群)26例(平均68.8歳).組織型(腺癌),病期IV期はD群/N群9例(64%)/16例(62%),12例(86%)/15例(58%).骨転移数2個以上,観察期間(日),SRE中脊髄麻痺を来したものはD群/N群13例(93%)/13例(50%),705日/539日,0例/3例であった.有害事象は低Ca血症11例,顎骨壊死2例認めた.デノスマブは進行肺癌症例に投与する傾向を認めたが,使用により予後の延長および重篤なSRE発症予防につながる可能性が示唆された.