2017 年 66 巻 3 号 p. 598-601
滑膜骨軟骨腫症を伴う変形性肩関節症に対し,リバース型人工肩関節置換術を行った症例を経験したので報告する.症例は,82歳女性.主訴は左肩痛と挙上困難.10年前より症状あったが,5年前より痛みが強くなり当科受診した.自動可動域は挙上60°,外旋0°,内旋仙骨レベルであった.X線像で関節症性変化と腫瘤陰影がみられた.MRIで腱板広範囲断裂を認めた.画像評価でHamada X線分類4a,Walsh分類A2,Favard分類E1であり,リバース型人工肩関節全置換術を施行した.関節内遊離体と滑膜内に骨軟骨結節がみられ,病理組織検査で滑膜内に骨軟骨形成がみられたため,一次性滑膜骨軟骨腫症と診断した.滑膜骨軟骨腫症は,関節,腱鞘,滑液包の滑膜に骨軟骨結節と遊離体が形成されるまれな疾患である.滑膜骨軟骨腫症の臨床像,病理組織検査所見について検討する.