整形外科と災害外科
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外科的ドレナージを行った化膿性仙腸関節炎の1例
崎村 幸一郎中原 信一西野 雄一朗衛藤 正雄
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2017 年 66 巻 4 号 p. 785-787

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抄録

化膿性仙腸関節炎は比較的まれな疾患であり,多彩な症状を呈することから早期診断に難渋することがある.今回,保存的治療が奏効せず外科的治療を要した高齢者の化膿性仙腸関節炎の1例を経験したので報告する.症例は79歳女性.当科初診の1週間前より左臀部から大腿後面部にかけて強い痛みが出現し体動困難となった.MRIで左仙腸関節に信号変化を認め,造影CTで仙腸関節近傍に2か所の膿瘍形成を認めた.局所所見と画像所見より化膿性仙腸関節炎と診断した.入院のうえ抗菌薬の点滴投与を開始したが痛みは軽減せず,follow up CTで膿瘍の縮小はごくわずかであった.入院8日目に前方アプローチで仙腸関節上方と前方の2か所の膿瘍を切開し排膿した.術後に痛みは速やかに軽快し,歩行可能となった.感染は再燃することなく経過し,良好な機能回復が得られた.適切な抗菌薬を投与しても膿瘍が縮小しない場合には外科的治療を検討すべきである.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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