2018 年 67 巻 2 号 p. 254-256
【はじめに】我々はK-L grade 3,4の内側型変形性膝関節症に対して脛骨顆外反骨切り術(TCVO)を行っているが,術後に屈曲拘縮が存在する症例を時に経験するため,その原因を調査した.【対象と方法】2008年から2016年までにTCVOを行った66膝(平均年齢61歳,男性17膝,女性49膝)を対象とし,術前および術後1年の伸展可動域およびX線学的計測値を調査した.【結果】全症例の平均伸展角度は術前-2.7度,術後-3.0度だった.術後の伸展角度が術前より悪化したのは18膝,変化がなかったのは32膝,改善したのは16膝だった.術後に5度以上の屈曲拘縮が存在した24膝を屈曲拘縮群,それ以外の42膝を正常群とすると,両群間に有意差があったのは術前伸展角度と術後脛骨関節面後方傾斜角(PTS)であった.性別,年齢,mLDFAおよび術前後のJLCA,MPTA,%MAに有意差はなかった.【結語】TCVOでは術前屈曲拘縮があれば術後も屈曲拘縮が生じやすいため,慎重な適応判断が必要である.また,術中はPTSが増大しないよう留意する必要がある.