整形外科と災害外科
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人工股関節置換術後に鼠径部偽腫瘍を生じた2例
三溝 和貴穂積 晃木寺 健一千葉 恒前田 純一郎中山 宗郎尾﨑 誠
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2018 年 67 巻 2 号 p. 325-328

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抄録

人工股関節周囲の腫瘤ではadverse reaction to metal debris(ARMD)や軟部腫瘍,血腫,感染等を鑑別する必要がある.人工股関節置換術後に鼠径部偽腫瘍を生じた2例を経験したので報告する.症例1:79歳女性.4年前に右人工股関節全置換術施行.誘因なく右下肢腫脹あり受診.画像検査では右股関節前方の嚢胞状腫瘤による大腿静脈の圧排を認め,腫瘤切除と再置換術をおこなった.病理でARMDと診断した.症例2:73歳女性.3年前に前医で右人工股関節全置換術おこなわれている.転倒後より右鼠径部痛あり,その後右下肢腫脹が出現.右股関節前方の嚢胞状腫瘤による大腿静脈の圧排を認め,腫瘤切除と再置換をおこなった.病理ではchronic expanding hematoma(CEH)の診断であった.術前検査で両者の鑑別は困難であった.確定診断には腫瘤切除と病理診断が必須である.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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