2018 年 67 巻 3 号 p. 582-585
尺骨急性塑性変形に伴う橈骨頭脱臼の一例を経験したので報告する.【症例】4歳,女児.【主訴】右肘痛,右肘腫脹.【現病歴】座っている母親の背中から転落し,受傷.近医整形外科を受診し,尺骨の急性塑性変形の診断で同日当科紹介受診.単純X線で橈骨頭前方脱臼と,尺骨の塑性変形を認めた.【治療】全身麻酔下に徒手整復術を行った.橈骨頭は回外位で前方から押さえることにより整復され,尺骨の塑性変形も可及的に矯正し,橈骨頭の安定性を確認した後ギブス固定を行った.【経過】術後疼痛なく経過し,術後5週でギブス除去.肘の可動域制限は認めなかった.【考察】小児Monteggia骨折のうち尺骨塑性変形に伴う橈骨頭脱臼は比較的稀であるが見落とされれば重篤な障害を招くことがあり,正確な診断と早期の治療が重要である.