2019 年 68 巻 1 号 p. 63-66
症例82歳.男性.4~5年前から右肩挙上不能.数ヵ月前から右肩痛.MRIでCTAを認めた.屈曲80度,外転45度,外旋30度,JOA score疼痛点5点,ADL6.5点,合計34.5点.単純X線写真でSeebauer分類IIB,骨頭は上方へ脱臼し,関節窩の上方部分は骨頭によって圧壊されていた.一方で関節窩下端は圧壊がなく,同部が上腕骨外科頚部を圧して,外科頚部の横径が狭小化していた.RSAの適応基準を満たすが,肩が上がらなくても痛みだけ軽くならないかとの希望があり,まず鏡視下デブリドマン施行.術後1年で屈曲80度,外転45度,JOA score疼痛点30点,ADL9点,合計点64点.可動域は変わらないものの,疼痛,ADLの改善が得られ患者の満足度が高い.修復不能な腱板断裂に対して鏡視下デブリドマンは侵襲が少なくRSA施行前に一度は試みてよい術式である.