整形外科と災害外科
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68 巻 , 1 号
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  • 相良 学, 米倉 暁彦, 岡崎 成弘, 中添 悠介, 千葉 恒, 尾﨑 誠
    2019 年 68 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】我々はKellgren-Lawrence grade3,4の内側型変形性膝関節症に対して脛骨顆外反骨切り術(TCVO)を行っているが,術後に屈曲角度が悪化する症例があるため,その原因を検討した.【対象と方法】2007年から2016年までにTCVOを行った81膝(平均年齢61.3歳,男性23膝,女性58膝)を対象とし,術前および術後1年の屈曲可動域とX線学的パラメーターとの関係を調査した.【結果】平均屈曲角度は術前135度,術後135度だった.術後屈曲角度が術前より悪化した群は27膝,変化なしまたは改善した群は54膝であった.両群間に有意差があったのは術前%Mechanical Axis(%MA),術前後%MA変化量,術前Joint Line Convergence Angle(JLCA),術前後JLCA変化量であった.性別,年齢,術前屈曲角度,術後%MA,術前modified Blackburne-Peel ratio(mBP),術後mBP,術後Posterior Tibial Slope(PTS),術前後PTS変化量に有意差はなかった.【考察】TCVOでは,術後膝関節屈曲悪化の原因として膝蓋大腿関節の影響は少なかった.術後屈曲悪化群では%MAとJLCAの術前後変化量が大きく,矯正量が大きい場合に術後膝関節屈曲悪化が生じる可能性がある.

  • 金山 博成, 森下 雄一郎, 河野 修, 前田 健
    2019 年 68 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    ピロリン酸カルシウム沈着性脊椎炎による偽痛風発作はまれである.今回,腰椎分離辷り症における広範囲に及ぶ急性CPPD沈着性脊椎炎を経験した.症例は86歳の女性.突然の激しい腰痛,38℃台の発熱,両下肢麻痺で発症した.発症一週間前に先行感染を疑う急性気管支炎を認めた.血液検査では炎症反応高値,CTではL4分離辷り部と黄色靭帯等に石灰沈着を認めた.MRIでは棘間靭帯内に液体の貯留,硬膜内・外に腫瘤性病変を認め,化膿性脊椎炎が疑われたが,穿刺排液からピロリン酸Ca結晶を認めた.CPPD沈着性脊椎炎による偽痛風発作と診断し,NSAIDsの静脈内投与を開始し,劇的に炎症反応と臨床症状は改善した.非常に稀な腰椎分離辷り症における広範囲の急性CPPD沈着性脊椎炎に対して,外科的介入なく,適切な診断により,NSAIDs投与のみで良好な臨床結果を得た.

  • 柳澤 義和, 野村 裕, 土井 俊郎, 有馬 準一, 大賀 正義
    2019 年 68 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    成人脊柱変形ではアライメント不良による起立保持や歩行困難を認めるが,脊柱管狭窄や椎間孔障害による神経症状を来すこともある.今回,高度側弯症に対して単椎間固定のみで治療した症例を経験したので報告する.症例は69歳の女性.主訴は左下肢痛による座位保持困難.X年4月頃,座位で左臀部痛出現,徐々に増悪し座位困難となった.改善なく6月に当科受診.初診時所見は左FNSTのみ陽性で,反射・知覚・筋力は正常であった.画像上は胸椎と胸腰椎部のdouble curveであったが,L4/5高位にもCobb角:15度の側弯を認め,MRIでは同部位に脊柱管狭窄と左椎間孔狭窄を認めた.経過より椎間孔障害による左L4root症状と診断し,1椎間の腰椎後方固定術を施行した.術後経過は3年半経過してJOAスコア:20→28点に改善した.成人脊柱変形ではアライメント異常に着目されがちであるが,主訴と神経学的所見により治療法を決定することが大切であると考えられた.

  • 山田 晋司, 中村 英一郎, 山根 宏敏, 邑本 哲平, 馬場 一彦, 舛本 直哉, 酒井 昭典
    2019 年 68 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    腰仙椎の先天性椎弓根欠損は報告例の少ないまれな先天異常である.本症の手術例の報告はさらに少なく,同一部位に椎間孔内狭窄を合併したという報告はない.今回われわれはS1椎弓根欠損に同一部位の椎間孔内狭窄を合併し,手術を要した症例を経験したので報告する.症例:56歳女性.左下肢痛のため歩行困難となり受診した.CTで左S1椎弓根の欠損を認めた.さらに左L5下関節突起も欠損していたが,左仙骨上関節突起の過形成により左L5/S椎間関節を形成していた.MRIおよびCTMで左L5/S椎間孔内でのL5椎体の骨棘と後方成分の肥厚による左L5神経根の圧排を認めた.左L5/S椎間関節切除とL5/S1後方進入椎体間固定を行った.術直後より左下肢痛は消失した.結語:椎弓根欠損により椎間孔内面積が増大しても,変性にともなって神経根周囲に限局した椎間孔内狭窄が起こり得ることに留意する必要がある.

  • 春田 陽平, 藤原 将巳, 齊田 義和, 宮岡 健, 古賀 理恵, 近間 知尚
    2019 年 68 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    多くの施設で脊髄症状を来す胸椎椎間板ヘルニアや正中に突出し馬尾症状を呈する腰椎椎間板ヘルニアに対して,後方アプローチによるヘルニア摘出術を行っているが,一部の症例で術後ヘルニア残存を経験することがある.術中にそれらを予測することは難しい.脊髄レベルにある胸椎椎間板ヘルニアや硬膜腹側に存在し直視不能な正中腰椎椎間板ヘルニアのヘルニア摘出では,過度で長時間の硬膜の牽引操作になる傾向があり術後の神経症状の悪化が危惧される.今回我々は,術中超音波検査を用いることでヘルニア塊の存在を確認し,神経侵襲操作を短時間に留めることが出来たと思われる3症例を経験したため報告する.

  • 田中 秀直, 田中 宏毅, 中山 恵介, 小澤 慶一
    2019 年 68 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院で行った前側方アプローチによる人工骨頭置換術において,トライアル手技の最中,あるいは直後に術中骨折を多く認めることから,トライアル手技と術中骨折との関連性について検討する.【方法】当院において過去3年間に施行した52例の人工骨頭置換術について検討した.なお全例で側臥位の前側方アプローチによる展開を行っている.【結果】全52例中26例でトライアルを行い,その内7例(26.9%)で術中骨折を認めた.一方トライアルを行わなかった26例では1例(3.8%)に術中骨折を認めた.【結論】トライアルは術中骨折のリスクを有意に上昇させると考えられ,トライアルを省略することは術中骨折の回避につながることが示唆された.

  • 永山 盛隆, 玉寄 美和, 藤井 紀光
    2019 年 68 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    THAにおいて大腿骨や骨盤の形態によってはインプラント選択に苦慮する場合がある.それらの症例に対してモジュラーネック型ステムを選択することがあり,その有用性について検討した.対象は2014年12月~2018年2月までに使用したAdler社製モジュラーネック型ステムである.36例37関節(男性9関節,女性28関節),手術時年齢は平均71歳(55~88歳),BMIは平均25.9(17.9~34.2)で,手術は完全側臥位による前側方または後方アプローチで行い,セメントステム5関節,セメントレスステム32関節であった.手術時間・術中出血量・機種選択理由・術中術後合併症の有無を調べた.種々の特殊症例にも関わらず,手術時間,術中出血量で特に問題なく,合併症は無かった.THAにおいて大腿骨の形状のみならず骨盤傾斜や再置換術など多方面にわたる適応の広さでモジュラーネックステムの有用性は高いと評価できる.

  • 森 俊陽, 川崎 展, 佐羽内 研, 塚本 学, 酒井 昭典
    2019 年 68 巻 1 号 p. 28-30
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    (目的)GTSステムの術後早期の骨反応について評価することである.(方法)2013年7月から2016年4月までに行った人工股関節全置換術でGTS 29例,CLS 28例,計57例を評価した.X線学的評価として,術後6ヶ月,1年での単純X線写真正面像を用い,radiolucent line(RL),cortical hypertrophy(CH),及びEnghらの分類によるstress shielding(SS)の評価を行った.(結果)RLは術後1年で両群共に1例ずつ認めた.CHは術後1年でCLS群に1例,GTS群6例に認めた.SSは1度以上が,術後6ヶ月でCLS群1例,GTS群10例,術後1年でCLS群7例,GTS群18例で有意にGTS群に多かった.3度以上のもの両群共に認めなかった.(結論)GTSステムは,CLSステムと比較し術後1年で既に骨反応を起こす傾向にあった.

  • 美山 和毅, 松崎 尚志
    2019 年 68 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    多発性骨髄腫を背景に病的骨折を来したステム周囲骨折の一例を経験したので報告する.症例は88歳女性,多発性骨髄腫の疑いがあったが精査加療を希望されず経過観察となっていた.2017年4月転倒し右大腿骨頚部骨折を認めセメント使用し人工骨頭置換術施行.術後問題なく経過し転院となり施設入所.2018年1月移動を介助された後から右大腿部痛を自覚.当科受診し股関節レントゲンで右大腿骨ステム周囲骨折Vancouver分類typeCを認めSynthes LCP distal femurを用いて観血的骨接合術を施行.術中所見で骨皮質は非常に脆弱で骨髄を病理に提出.その結果骨髄腫として矛盾しないものであり,本症例は多発性骨髄腫を背景として病的骨折を来したものと考えられた.ステム周囲のセメントに至るperiprostheticスクリューを用いて満足な固定性を得ることが可能であった.軽微な外力により生じた高齢者の骨折は確定診断に至っていない多発性骨髄腫の可能性も念頭に置く必要がある.

  • 河野 俊介, 重松 正森, 本家 秀文, 田中 雅, 北島 将, 江頭 秀一, 園畑 素樹, 佛淵 孝夫, 馬渡 正明
    2019 年 68 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    高齢者の大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術は標準的な治療であるが,高齢者は,様々な既往症を有しcompromised hostとなるため,人工骨頭置換術後の術後感染には注意が必要である.今回,人工骨頭置換術に対する感染予防対策の一つとして銀含有ハイドロキシアパタイト(Ag-HA)コーティングセメントレス抗菌ステムを使用した54例54股を対象とし,安全性とステム初期固定性の評価を行った.43例(80%)が80歳以上の高齢・糖尿病・透析・肝炎・膠原病など感染合併リスクを要する症例であったが,術後感染症を合併した症例はなく,銀関連合併症やsinking・looseningを呈する症例はなかった.脱臼を2例,深部静脈血栓症を1股に認めたが,再手術症例はなかった.Ag-HAコーティングセメントレス抗菌ステムの初期固定性は良好で安全性は問題なく,人工骨頭置換術後感染予防の一助となると考えられた.

  • 青木 龍克, 後藤 久貴, 末次 宏晃, 水光 正裕, 内山 迪子, 小林 恭介, 田中 奈津美, 鳥越 雄史
    2019 年 68 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    人工関節置換術(THA)後に腸腰筋インピンジメントを生じ,前方より直視下腸腰筋切離を行った2例を報告する.【症例1】61歳女性.58歳時に右THAを施行し,術後1年で下肢伸展挙上(SLR)時の鼠径部痛が出現した.カップの前方突出を認め,腸腰筋エコーガイド下ブロックが著効し,腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後1週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【症例2】66歳女性.64歳時に右THAを施行し,術後1年でSLR時に大腿前面の痛みが出現した.明らかなカップの設置不良はなかったが,腸腰筋ブロックで疼痛改善を認め,術後2年3か月で腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後3週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【考察】腸腰筋インピンジメントに対してはカップの再置換術も選択肢となるが,カップの設置に大きな問題がない場合や,カップ再置換のリスクが高い場合には,腸腰筋切離の良い適応と考えられる.

  • 高橋 建吾, 小倉 雅, 堀之内 駿, 海江田 光祥, 松山 金寛, 田邊 史, 東郷 泰久, 谷口 昇
    2019 年 68 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    近年整形外科領域においてアクネ菌が人体に様々な影響を及ぼしていることが指摘されている.今回アクネ菌による化膿性股関節炎の症例を経験したため報告をする.【症例】大理石病を有する66歳女性.約20年前に左股関節インプラント手術後にMRSA感染を発症した既往があった.左股関節痛を主訴に当院を外来受診.MRIにて左股関節周囲に巨大膿瘍を疑う所見を認めた.またCRP31.1mg/dlと高値であったため排膿,洗浄処置を施行した.既往からMRSAによる感染が考えられたためバンコマイシン入りセメントビーズを局所に充填する処置を行った.しかしその後の培養結果ではアクネ菌のみが検出された.当初はcontaminationを疑うもMRSAは全く検出されなかったためアクネ菌による化膿性股関節炎の診断でセメントビーズの除去,抗生剤を変更して投与したところ感染は鎮静化するに至った.

  • 小林 将人, 岩永 隆太, 徳重 厚典
    2019 年 68 巻 1 号 p. 44-46
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】梨状筋に発生した筋内血管腫により股関節外旋拘縮を呈し,観血的治療で改善した症例を報告する.【症例】29歳男性.13歳時に誘因なく右股関節痛を自覚し,その後徐々に股関節外旋拘縮が出現した.拘縮が継続するため,精査目的に当院紹介となった.初診時,股関節可動域は内旋0度と制限を認めた.MRIで梨状筋内にT2強調像で高信号,造影効果不均一な35×20mm大の腫瘍を認め筋内血管腫と診断した.また,小殿筋や短外旋筋群の筋萎縮を認めた.腫瘍切除を行ったが,可動域の改善乏しく,短外旋筋群と関節包の切開を加えることで可動域の改善を得た.術後2ヶ月で可動域は健側と同程度となり,歩容も著明に改善した.【考察】関節近傍に発生した筋内血管腫により関節拘縮が起こりうることは足関節や膝関節では散見されるが,梨状筋内血管腫による関節拘縮は渉猟しえた限り報告例がない.筋内血管腫は再発率が高く慎重な経過観察を要する.

  • 末次 宏晃, 後藤 久貴, 青木 龍克, 水光 正裕, 内山 迪子, 小林 恭介, 田中 奈津美, 鳥越 雄史
    2019 年 68 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【症例】77歳,女性.元来,股関節の可動性制限あるものの,歩行はシルバーカー使用にて緩徐に可能.今回,屋外にて転倒受傷し,当院へ搬送.単純Xpにて,右腸骨骨折,左大腿骨転子下骨折(Seinsheimer type5),両変形性股関節症(Kellgren-Lawrence分類grade4)の診断.受傷6日後に骨接合術(髄内釘)を行った.両股関節の強直あり,牽引手術台では困難かつXp軸位像は確認不可のため,右側臥位で観血的整復した後,髄内釘(IPT long nail)を挿入した.ラグスクリュー刺入方向は術前CTにて大腿骨頚部前捻角を意識しての挿入を行った.【経過】もともと座位保持困難あり車いす移乗は困難と判断し,ベッドサイドリハビリから開始.また術後から超音波骨折治療器使用し,テリパラチド皮下注射を開始.術後8週で仮骨形成認めており,立位訓練開始し,以降は疼痛に応じて全荷重まで許可とした.術後半年経過フォロー時には骨癒合完成認め,荷重時痛なく,もとの歩行状態まで改善した.

  • 山﨑 裕太郎, 秋吉 祐一郎, 野村 智洋, 南川 智彦, 真田 京一, 宮﨑 弘太郎, 橋野 悠也, 白井 隆之, 柴田 陽三
    2019 年 68 巻 1 号 p. 50-52
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    症例は62歳,女性.小腸大腸型クローン病に対してアダリムマブ投与中であった.クローン病に伴う全身の関節痛があり,プレドニゾロンを漸減しながら投与された.特に誘因なく左股関節に歩行時痛が出現し,当科を受診した.股関節単純X線写真で明らかな骨折はなかった.股関節単純MRIでは左寛骨臼上部に骨髄浮腫像と関節面に平行な骨折線を認めた.患肢免荷松葉杖歩行を指示し,ビスフォスフォネート製剤の投薬を開始した.疼痛は約1か月で軽快し,独歩可能となった.初診から2か月後の股関節単純X線写真では左寛骨臼に骨硬化像を認めた.骨盤脆弱性骨折の多くは仙骨,恥坐骨の骨折であり,寛骨臼上脆弱性骨折の報告は少ない.骨脆弱性のある患者の股関節痛では大腿骨側だけでなく,寛骨臼側の骨折も念頭に入れておく必要がある.関節面に骨折線が達する寛骨臼骨折では変形性股関節症や急速破壊型股関節症に進行する可能性があり,鑑別が重要である.

  • 井上 三四郎, 村岡 辰彦, 児玉 博和, 竹本 翠
    2019 年 68 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    鎖骨骨幹部骨折に対しプレート固定とりわけ上方設置法は,標準術式として確立されている.その術前作図には,単純X線像とメーカーが提供するテンプレートが使用される.当院のルーチン鎖骨2方向は,鎖骨正面像と20度尾頭撮影である.テンプレートにはプレートを正面と真上から見た2方向が印刷されている.このうちプレートを真横から見た像は従来法でテンプレーティング可能であるが,プレートを真横から見た像は不可能である.そこで,50度尾頭像を撮影し,テンプレーティングを行っている.

  • 当真 孝, 山口 浩, 森山 朝裕, 前原 博樹, 當銘 保則, 金谷 文則
    2019 年 68 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    三角筋断裂を伴う広範囲肩腱板断裂の治療にはしばしば難渋する.我々は三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂の2例を経験したので報告する.症例1 69歳女性.5年前から右肩痛を自覚.1年前より近医受診で内服,ステロイド注射を行っていた.3カ月前に突然右肩挙上困難出現,MRIで三角筋断裂を合併した広範囲肩腱板断裂を指摘され当科を紹介.初診時身体所見は右肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲20度,外旋30度,内旋Th8でJOAスコアは45点であった.腱板一次修復術と三角筋修復術を施行し,術後64カ月で自動肩関節可動域屈曲105度,外旋65度,内旋Th8,JOAスコア86.5点へ改善を認めた.症例2 82歳女性.3年前より右肩痛,可動域制限を自覚.1週間前より誘因なく右肩関節腫脹,皮下出血を認め近医受診.三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂を認め,手術目的に当院紹介.初診時身体所見は肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲0度,外旋10度,内旋Hip,JOAスコアは25点であった.腱板修復術に大胸筋移行術を併用し,三角筋修復術を施行し,術後12カ月で自動肩関節可動域屈曲65度,外旋45度,内旋L1,JOAスコア58点へ改善傾向を認めた

  • 荻本 晋作, 原 克利
    2019 年 68 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】肩関節拘縮に対する非観血的授動術は,斜角筋ブロック下に施行されることがある.他医で同法を受けた後に腱板断裂が明らかとなった症例を報告する.【症例】症例1:65才男性.2015年7月右肩の外転時の疼痛と他動可動域制限を主訴に近医受診.8月末に授動術施行され,5ヶ月後に以前とは異なる疼痛が出現しMRIにて広範囲断裂を指摘され紹介受診.鏡視下上方関節包再建術を施行.再建部の断裂なく,術後2年現在,疼痛なく経過良好である.症例2:53才女性.2016年7月から誘因なく右肩痛が出現し近医受診し授動術を受けた.その後から痛みが変わり当院受診.初診時,右肩に可動域制限はなく,棘上筋筋力低下を認めた.MRIで棘上筋の完全小断裂及び上腕骨頭の高輝度像を認めた.保存的加療を行い腱板筋力は改善.慎重に経過観察中である.【考察】非観血的授動術は,麻酔方法を変更しても侵襲を伴う方法であり,その施行には注意を要する.

  • 川﨑 英輝, 柴田 陽三, 秋吉 祐一郎, 野村 智洋, 蓑川 創, 南川 智彦, 石橋 卓也, 中谷 公彦, 長松 晋太郎
    2019 年 68 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    症例82歳.男性.4~5年前から右肩挙上不能.数ヵ月前から右肩痛.MRIでCTAを認めた.屈曲80度,外転45度,外旋30度,JOA score疼痛点5点,ADL6.5点,合計34.5点.単純X線写真でSeebauer分類IIB,骨頭は上方へ脱臼し,関節窩の上方部分は骨頭によって圧壊されていた.一方で関節窩下端は圧壊がなく,同部が上腕骨外科頚部を圧して,外科頚部の横径が狭小化していた.RSAの適応基準を満たすが,肩が上がらなくても痛みだけ軽くならないかとの希望があり,まず鏡視下デブリドマン施行.術後1年で屈曲80度,外転45度,JOA score疼痛点30点,ADL9点,合計点64点.可動域は変わらないものの,疼痛,ADLの改善が得られ患者の満足度が高い.修復不能な腱板断裂に対して鏡視下デブリドマンは侵襲が少なくRSA施行前に一度は試みてよい術式である.

  • 岩﨑 俊介, 梶山 史郎, 松尾 洋昭, 尾﨑 誠
    2019 年 68 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    20歳男性,大学柔道部員.1年前柔道中に転倒し右肩を受傷し他院を受診.MRIにてBankart病変を指摘されたが,初回脱臼であったため保存加療を行った.その後亜脱臼を頻回に認めたため,手術目的に当科紹介となった.烏口突起偽関節および骨性Bankart病変を伴った肩関節前方不安定症を認め,関節鏡下Bankart修復術および直視下Bristow変法(鏡視支援下)を行った.術後2年の最終経過観察時,再脱臼を認めなかった.日本肩関節学会(JSS)Shoulder Sports Scoreは術前54点から術後86点に改善し,完全に競技復帰を果たしていた.烏口突起偽関節を伴った肩関節前方不安定症に対しBankart修復に加え偽関節部を利用したBristow変法を用い,良好な術後成績を得ることができた.

  • 宮﨑 弘太郎, 柴田 陽三, 秋吉 祐一郎, 野村 智洋, 南川 智彦, 真田 京一, 山﨑 裕太郎, 橋野 悠也, 伊﨑 輝昌, 三宅 智 ...
    2019 年 68 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    直視下Latarjet法後に上腕骨頭の後方扁平化を来した1例を報告する.症例は21歳男性.ラグビー選手.3年前トレーニング中に右肩を初回脱臼し,その後も脱臼を繰り返した.Latarjet法施行後8ヵ月で競技復帰し,経過良好であった.術後2年6ヵ月でプレー中に脱臼不安感と疹痛が生じた.CTで上腕骨頭後方に新たな扁平化を認めたが,移植骨の吸収やスクリュー折損は認めなかった.MR関節造影で明らかな損傷はなかったものの,疹痛続くため関節鏡を施行.Type Ⅱ SLAP lesion,関節窩後方の軟骨損傷,Hill-Sachs病変の拡大を認めた.直視下Latarjet法は脱臼制動効果の高い術式で,当科で術後再脱臼した症例はない.本症例も脱臼肢位で強力な外力が加わったものの手術効果により脱臼しなかったが,脱臼肢位で骨頭後方に強い力が加わり骨頭に圧迫骨折が生じたものと推察した.

  • 大隈 暁, 金澤 洋介, 杉木 暖, 久保 壱仁, 守谷 和樹, 畠山 英嗣
    2019 年 68 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】橈骨遠位端骨折における背側天蓋状骨片に対する処置と臨床成績の検討を行うことである.【対象と方法】対象は,当科において,2010年から2017年まで,背側天蓋状骨片を伴う橈骨遠位端骨折に対し骨接合を施行した35例(35~85歳,平均66.1歳)である.背側天蓋状骨片の内訳は,連続型20例,遊離型11例,髄内型4例であった.背側天蓋状骨片に対して,処置を行ったのは8例(3例は整復,5例は摘出),27例は無処置であった.これらに対し,日手会手関節機能評価,合併症の有無を検討した.【結果】処置群では合併症は認めなかった.無処置群では,27例中10例に合併症を認め(合併症率37.0%,EPL断裂3例,手指拘縮4例,手関節背屈制限3例),無処置群は処置群より有意に(P<0.01)合併症が多かった.また,処置群と無処置群における臨床成績に有意差は認めなかったが,処置群の方が,臨床成績が良い傾向にあった.

  • 金堀 将也, 牛島 貴宏, 浜崎 晶彦, 美浦 辰彦, 土持 兼信, 園田 和彦, 新井 堅, 原 俊彦
    2019 年 68 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    Sauvé-Kapandji法での手関節形成術後に遅発性正中神経麻痺を来した一例を経験したので,報告する.症例は65歳女性,半年前から関節リウマチの診断で治療を開始されていた.右手関節形成術を行われた約4ヶ月後,突発的に右手正中神経領域の激しい疼痛と運動・感覚麻痺を生じ,当科受診.画像上,手関節形成術の際に留置された鋼線の先端が橈骨遠位端掌側から突出しており,周囲に不整陰影を認めた.術中所見としては,正中神経に圧痕を認め,深層には多量の血腫を認めた.突出した鋼線先端の近傍には,菲薄化した長母指屈筋腱を認めた.以上から,主原因は鋼線先端での腱滑膜への刺激によって形成された血腫と考えられた.また,抗凝固薬を内服していた事や,関節リウマチによる血管脆弱性の存在も,間接要因であったと推察した.

  • 白井 佑, 大茂 壽久, 鈴木 正弘, 江副 賢生, 蒲地 康人, 長島 加代子, 古子 剛, 濱田 賢治, 大友 一, 清水 健詞, 田原 ...
    2019 年 68 巻 1 号 p. 82-84
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    化膿性筋炎は骨格筋を感染の主座とする亜急性の細菌感染症で,局所的な膿瘍形成を生じ,主に下肢に好発する.今回,方形回内筋内に生じた化膿性筋炎を経験したので報告する.症例は82歳男性で,既往歴にはコントロール良好な糖尿病があった.転倒した際に左手をつき受傷し,受傷後3日目に当院を受診した.血液検査では炎症反応の著名な上昇を認め,MRI検査にて方形回内筋内に膿瘍を確認し,同日緊急に洗浄デブリドマンを実施した.その後感染が鎮静化するまでは,IW-COMPITとNPWTi-dといった洗浄機能付き局所陰圧閉鎖療法を用い創を持続的に洗浄し,感染が落ち着いてからはNPWTを用い創治癒を促進した.その間7回の洗浄デブリドマンを実施し,分層植皮にて創閉鎖を行った.NPWTi-dはIW-CONPIT(感染期)からNPWT(感染消失期)への移行を円滑に行うために有用な方法であり,また軽量かつコンパクトな装置のため患者や医療従事者の負担やストレス軽減のために有用である.

  • 江副 賢生, 大茂 壽久, 鈴木 正弘, 蒲地 康人, 長島 加代子, 古子 剛, 濱田 賢治, 大友 一, 清水 建詞, 田原 尚直
    2019 年 68 巻 1 号 p. 85-87
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】外傷を契機として受傷した第2中手骨長橈側手根伸筋(以下,ECRL)腱付着部の裂離骨折を認めた症例を経験したので報告する.【症例】47歳男性.自転車運転中に壁に衝突し,右手を強制的に過屈曲され受傷した.右手関節の腫脹と圧痛を認め,精査加療目的に当科へ紹介となった.単純X線検査およびCT検査にて,ECRL腱の停止部である第2中手骨基部の裂離骨片を認めた.手術は,裂離した骨片を第2中手骨基部にK-wireで整復し,Mini screwで固定した.screwのみでは固定性は不十分であり,吸収性プレートで第2CM関節ごと固定した.術後2週でシーネ除去,手関節可動域および握力低下なく職場復帰出来た.【考察】我々が渉猟し得た内,同骨折症例は22例報告されており,その受傷機転は手関節の強制背屈が最も多い.16例に手術が行われており,その内15例で良好な成績が得られており,手術加療を行うことが望ましい.本症例でも受傷後早期に手術を行い,良好な成績を得た.

  • 大久保 昭史郎, 大里 恭平
    2019 年 68 巻 1 号 p. 88-91
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    非結核性抗酸菌の肺外病変は比較的まれである.非結核性抗酸菌腱鞘滑膜炎は慢性に経過し炎症反応も正常から軽度上昇するのみでありまた菌体の検出率も低いことから診断および治療に難渋することがある.今回我々は非結核性抗酸菌による化膿性腱鞘滑膜炎を経験した.軽微な外傷後に疼痛,腫脹を訴え,炎症反応に乏しい場合,非結核性抗酸菌感染症を疑う必要がある.治療は外科的滑膜切除と化学療法である.

  • 與那嶺 隆則, 大久保 宏貴, 金城 政樹, 普天間 朝上, 金谷 文則
    2019 年 68 巻 1 号 p. 92-95
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    39歳,男性,医学生.1年前から右示指の腫脹を,2か月前から同部位の疼痛を自覚し当院を受診した.中節レベルに腫脹・圧痛を認め,単純X線像上,中節に菲薄膨隆化を伴う骨透亮像を認めた.MRIではT1強調像で低輝度,T2強調像で内部の液面形成を伴う高輝度の腫瘍性病変を認めた.その後,腫脹と圧痛は急速に増悪し,手術直前(初診後6週)の単純X線像では中節皮質骨の菲薄化は著明に進行,一部途絶していた.創外固定器装着,腫瘍搔爬,人工骨・自家骨(β-TCP)移植術を施行した.病理診断は骨巨細胞腫による二次性動脈瘤様骨嚢腫であった.移植骨の良好なリモデリングを認めたが,術後12か月で中節基部掌側に腫瘍が再発した.再手術で腫瘍搔爬,フェノール処理,人工骨(α-TCP)充填を行い,術後はデノスマブ皮下注を行った.再手術後7か月,腫瘍の再々発はなく,可動域制限は軽度残存するが趣味のチェロ演奏も可能で,日常生活に支障はない.

  • 谷口 良太, 副島 悠, 荒武 佑至, 福徳 款章, 高野 祐護, 柳澤 義和, 田中 孝幸, 土井 俊郎, 有馬 準一
    2019 年 68 巻 1 号 p. 96-98
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    大腿骨転子部骨折に対する髄内釘を用いた骨接合術は症例数も多く,転位のない骨折であれば手術手技も比較的単純であるため,若手整形外科医の最初の執刀となることも少なくない.今回,我々は術後に急激な貧血を認め,精査の結果,大腿深動脈損傷を疑われた症例を経験したので多少の文献的考察を加え報告する.症例は61歳男性,毎晩自宅で飲酒しており,飲酒後に転倒し受傷.体動困難となったため救急搬送された.画像検査で右大腿骨転子部骨折の診断で髄内釘手術施行.術翌日に貧血あり輸血を施行したが,その後も貧血の改善を認めないため,術後3日目に造影CT施行し,右大腿深動脈損傷の疑いで同日TAEにより止血した.大腿骨転子部骨折に対する手術は,若手整形外科医が執刀する機会も少なくない.今回我々が経験した大腿深動脈損傷以外にも多くの合併症の報告が散見される.起こりうる合併症を充分に理解した上で,慎重に手術を行うことが重要である.

  • 朝永 育, 白石 和輝, 前田 純一郎, 朝長 匡, 宮本 俊之
    2019 年 68 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】大腿骨転子部骨折におけるfemoral short nailでは,tip-to-apex distance(TAD)を20mm以下にすることでカットアウト率が減少すると言われている.本研究の目的はTADを術中測定できるcomputer-assisted navigation system(Navi)の有用性を検討することである.【対象と方法】大腿骨転子部骨折40例を対象とし,Navi群20例,非Navi群20例を比較した.評価項目はTAD,手術時間とした.【結果】TADはNavi群13.4mm,非Navi群15.2mm(p=0.18)であった.TADが10mmから20mmである症例はNavi群95%,非Navi群75%であった.手術時間はNavi群36.9分,非Navi群37.4分(p=0.90)であった.【考察】TADに2群間で有意差は認めなかったが,Navi群の方がより正確な位置に挿入することが可能であった.また手術時間に両群間で有意差はなかった.【結語】Femoral short nailにおけるNaviは有用である可能性が示唆された.

  • 髙田 真一, 住吉 康之, 末永 英慈
    2019 年 68 巻 1 号 p. 103-105
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】鎖骨遠位端ロッキングプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の治療成績を報告する.【対象と方法】2012年2月~2017年9月に手術を行った転位のある鎖骨遠位端骨折6例,全例が男性,手術時年齢は27~69歳(平均48歳).骨折型はCraig分類type IIb 4例,V2例.受傷後6~14日にナカシマメディカル社製の鎖骨遠位端ロッキングプレートにて内固定術を行った.術後2~3週間,三角巾を使用,痛みに応じて可動域訓練を行った.最終観察時の屈曲可動域,痛みの有無,骨癒合,合併症を調査した.【結果】屈曲可動域は120°~180°と良好で,痛みが残存したものは無く,全例が骨癒合した.合併症は創部感染1例,肩鎖関節亜脱臼1例であった.【考察】転位のある鎖骨遠位端骨折に対して,鎖骨遠位端ロッキングプレートを用いて良好な成績が得られた.粗鬆骨や粉砕のある骨折型に対しては特に有用と思われた.

  • 鎌田 敬子, 木戸 健司, 瀬戸 哲也, 椎木 栄一
    2019 年 68 巻 1 号 p. 106-108
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】小児上腕骨顆上骨折は日常的に遭遇する外傷であり,経皮的鋼線刺入固定術と観血的整復固定術を行った症例について比較検討した.【対象と方法】2012~2016年に手術を施行した小児上腕骨顆上骨折46例を対象とし,経皮的鋼線刺入固定術群と観血的整復固定術群に分け,年齢,性別,外固定期間,Tilting angle(TA)・Baumann angle(BA)の経過,最終ROMについて検討した.【結果】経皮的鋼線刺入固定術群40例,観血的整復固定術群6例で観血的整復固定術群はすべてSmith・阿部分類type4であった.外固定期間,TA・BAの経過,最終ROMについては両群間で有意差は認めなかった.【考察】粉砕骨折や神経血管障害を合併した場合,観血的整復固定術を選択する傾向にあった.【結論】小児上腕骨顆上骨折46例のうち観血的整復固定術はSmith・阿部分類type4の6例に施行していた.

  • 石橋 卓也, 塚本 伸章, 前 隆男, 加藤 剛, 小宮 紀宏, 屋良 卓郎, 矢野 良平, 櫻井 立太, 吉野 宗一郎
    2019 年 68 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】当院で経験したComplex Elbow Instabilityの治療経過について検討すること.【対象】2012年以降当損傷に対して手術治療をされ,術後4か月以上経過観察可能であった5例5肘を対象とした.損傷パターンはvalgus posterolateral rotational injury 2例,varus posteromedial rotational injury 2例,olecranon fracture-dislocation 1例であった.損傷部位は鉤状突起骨折+橈骨頭骨折+外側側副靭帯(LCL)損傷1例,鉤状突起骨折+橈骨頭骨折+LCL・内側側副靭帯(MCL)損傷1例,鉤状突起骨折+LCL損傷2例,鉤状突起骨折+肘頭骨折+LCL損傷1例であった.【結果】全例において骨接合術と靭帯縫合術が行われ,1例にヒンジ付き創外固定器が併用された.最終観察時単純X線における関節の適合性は良好であり,可動域中央値は屈曲130度,伸展-10度,肘関節JOA scoreの中央値は90点であった.【結論】当損傷における損傷パターンは多彩であるため病態把握と安定性獲得を優先した治療法の選択が重要と考えられた.

  • 廣田 高志, 副島 修, 密川 守, 宇藤 一光, 渡邊 徳人, 矢野 真太郎, 恒吉 正澄, 内藤 正俊
    2019 年 68 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】橈骨頭骨折術後の異所性骨化に起因したと思われる上腕骨外側上顆炎の1例を経験したので報告する.【症例】61歳女性,5年前に近医にて右橈骨頭骨折に対し手術歴あり.2か月前より右肘関節運動時の疼痛・轢音が出現したとのことで当院を受診した.身体所見では,短撓側手根伸筋腱(以下ECRB腱)付着部に圧痛と肘関節回内外運動時の轢音を認め,可動域は伸展-20°/屈曲120°,回内70°/回外70°であった.単純X線/CTにて橈骨頭骨折術後変形癒合・橈骨頭周囲の異所性骨化を認め,MRI所見T2強調像にてECRB付着部の高信号域を認めた.手術はECRB腱起始部の切除と輪状靭帯/関節包の部分切除を行った後に,橈骨頭周囲の骨化性病変を切除した.術後3か月の時点で回内外時の疼痛がわずかに残存しているものの轢音は消失し,肘関節可動域は伸展-5°/屈曲125°,回内90°/回外90°と改善し就業復帰した.

  • 柴田 達也, 尾上 英俊, 中村 厚彦
    2019 年 68 巻 1 号 p. 117-120
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    初期固定にEnder釘が有用であった開放性上腕骨骨幹部分節骨折の一例を経験した.【症例】33歳男性,軽自動車で走行中に雨でスリップし,車内で右上半身を強打し受傷した.右肩前面に約10cmの開放創と上腕前面に広範囲の挫滅創があり,単純X線で右上腕骨の骨幹部分節骨折と遠位端骨折を認めた.同日は開放創の洗浄処置を行い,翌日に再洗浄と遠位端骨折に対するplate固定,分節骨折に対してEnder釘を用いた初期固定を行った.開放創は順調に閉鎖したが,挫滅創は上皮化するのに約3ヶ月を要した.その後,分節骨折に対してLCP narrow plateを用いた二期固定を行い,6ヶ月で骨癒合し良好な肩関節可動域を獲得した.【結語】初期固定にEnder釘を用いることで,感染を起こすことなく上腕骨のアライメントと長さを保持し,肩関節のROM訓練を行うことができた.

  • 山本 俊策, 二之宮 謙一, 合志 光平, 牟田口 滋, 佐々木 大, 坂本 悠磨
    2019 年 68 巻 1 号 p. 121-122
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    今回,我々は人工関節置換術(TKAおよびUKA)後に著明な疼痛を呈したPseudomeniscusに対して鏡視下手術を施行した2例を経験したので報告する.症例1 64歳 女性 右膝人工関節全置換術(TKA)後6ヶ月頃から歩行時と屈曲時の疼痛を認め,次第に症状増悪し,歩行困難となり術後8ヶ月目に関節穿刺実施し,淡血性の関節液を認めた.培養では感染を認めなかった.症状軽減しないため,術後9ヶ月目に鏡視下手術実施した.外側コンパートメントにPseudomeniscusを認め,これを除去した.術後すみやかに症状軽減した.症例2 74歳 女性 既往歴 糖尿病 左膝人工関節単顆置換術(UKA)後7ヶ月頃から次第に歩行痛および屈曲時痛が増悪し歩行困難となり術後8ヶ月目に鏡視下手術を同様に実施し術後すみやかに症状軽減した.病理組織所見は線維結合織と線維軟骨から構成され,軽度の炎症細胞浸潤を認めた.人工膝関節置換術後のPseudomeniscusに対して鏡視下手術は有効であった.

  • 川内 健寛, 今村 勝行, 中村 俊介, 藤元 祐介, 廣津 匡隆, 栫 博則, 谷口 昇
    2019 年 68 巻 1 号 p. 123-125
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    本邦で施行されるTKAの約3%が再置換術である.2大要因は人工関節周囲感染(以下PJI)とaseptic looseningである.今回我々は両者の鑑別に難渋した症例を経験したので報告する.症例は78歳女性,右変形性膝関節症に対し近医にてTKA施行され術直後は経過良好であったが,術後3年で右膝痛と腫脹が出現,保存的に経過観察とされていたが徐々に増悪,術後7年でPJI疑いで紹介受診となった.採血データでCRP陽性・ESR亢進,CT・MRIにて膝蓋上嚢にリング状エンハンス,シンチグラムでの集積亢進を認めたが,関節液所見は細菌培養陰性,好中球数90/ul,分画11%,α-defensin陰性であった.関節液所見を重視するMSIS(Musculoskeletal Infection Society)のPJI診断基準5)に準じPJIを否定し再置換術を施行した.PJIの診断には関節液所見が重要である.

  • 今井 大輔, 松本 佳之, 大田 秀樹, 井口 洋平, 巽 政人, 塩川 晃章, 眞田 京一, 木田 浩隆
    2019 年 68 巻 1 号 p. 126-128
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【初めに】当院では膝可動域良好,および十字靭帯の状態良好な患者の内側コンパートメントに限局した変形性膝関節症に対して片側人工膝関節置換術(UKA)を行っており,今回10年以上経過した症例の調査結果について述べる.【対象と方法】1997年~2007年に当院でUKAを実施し,10年間以上のフォローを行えた患者は19例23膝であった.男2例3膝,女11例16膝,内側の一次性OA 18膝,大腿骨内側顆壊死1膝であり手術時年齢は60~76歳である.使用した人工関節はzimmer社のMiller-Galante Unicompartmental systemである.【結果】渉猟しえた範囲で19例中18例の膝機能は良好に保たれており,X線上looseningを認めなかった.1例のみX線上looseningは認めなかったが疼痛と関節血腫のため関節鏡を行った後に術後4年でTKAへ再置換となった.【考察】10年以上の長期成績を調査した結果,内側型OAに対するUKAは有用な治療と思われたが,術後3年で再置換例も出ておりその原因について考察を加え報告する.

  • 川村 秀哉, 浦上 泰英
    2019 年 68 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    開大式高位脛骨骨切り術は内反変形軽度の膝関節症によい適応であるが,今までの骨切り術では膝拘縮があったり,PF関節症合併の患者に対しては適応外であった.演者はこの術式の適応を広げるべく,従来の方法とは異なる方法を考案した.脛骨粗面直上で関節面に平行に切骨ラインを定め,矢状面では遠位後方斜めに切骨する.直視下に完全に切骨し,内側を開大,膝伸展位で外反矯正し強固に内固定する.この方法により屈曲拘縮は改善,臨床上もよい結果が得られた.骨移植として膝関節内より骨軟骨移植キットを応用して円柱状の骨を採取,自家骨骨移植として用い,好結果を得た.術前後に全下肢CT再構築画像を用いて下肢アラインメントを評価したが,今後の膝周囲骨切り術前後の評価に汎用できると思われた.この術式により理論的にはPF圧も下がり,開大式高位脛骨骨切り術の適応を広げることができると思われた.

  • 薄 陽祐, 諸岡 孝明, 石原 康平, 木村 岳弘, 増田 祥男, 新城 安原, 諸岡 正明
    2019 年 68 巻 1 号 p. 133-135
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】内側開大型高位脛骨骨切り術(MOW-HTO)における術中関節周囲多剤カクテル注射が術後疼痛抑制効果を有するか検討を行った.【対象と方法】対象は2014年1月以降当院でMOW-HTOを実施しカクテル注射を使用した44例44膝(カクテル群)と非使用の22例22膝(非使用群)である.調査項目は1.術後1・2・7・14日目の平均VAS値,2.術当日,術後1・2日目以降の鎮痛薬(坐薬,筋肉注射,大腿神経ブロック)使用率,3.膝関節屈曲90度・120度獲得までの日数とした.【結果】カクテル群は非使用群と比べVAS変化量に有意差を認めなかったが,術後1日目のVASはカクテル群(51mm)が非使用群(65mm)に比べ低値であった.坐薬,筋肉注射,大腿神経ブロック使用率は,カクテル群で頻度が少ない傾向にあった.膝関節屈曲90度獲得までの日数はカクテル群(2.1日)が非使用群(3.1日)に比べて短い傾向にあった.【結論】カクテル注射はMOW-HTOにおける術直後の鎮痛に有用な可能性がある.

  • 江頭 秀一, 竹下 修平, 吉里 広, 嶋崎 貴文, 高山 剛
    2019 年 68 巻 1 号 p. 136-139
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    BMI 44kg/m2と高度肥満患者に対し,ハイブリッド高位脛骨骨切り術(Hybrid High Tibial Osteotomy,以下Hybrid HTO)を施行し偽関節となった症例を経験した.症例は42歳女性,Kellgren-Lawrence分類Grade 4でFemoro Tibial Angle(FTA)=189度であった.年齢・活動性を考慮しHybrid HTOを行った.術後FTA=170度と矯正され,術後10週目に杖歩行で自宅退院となる.術後12週目のX線像ではFTA=176度と再内反を認め,骨癒合は得られておらず偽関節となった.術後30週目に再手術施行.骨移植,内側プレート固定行い骨癒合を得た.最終観察時FTA=170度と外反矯正は保たれており,日常生活は安定して可能となった.我々が渉猟した範囲ではHybrid HTO後の偽関節の報告はなく,文献的考察を交えて報告する.

  • 生田 拓也, 野口 和洋, 工藤 悠貴, 阿部 徹太郎
    2019 年 68 巻 1 号 p. 140-142
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    大腿四頭筋皮下断裂は比較的稀な外傷である.その症例2例を経験したので報告した.症例1は50歳男性で,トラックとプラットホームの間に挟まれて受傷した.症例2は57歳男性で,ジョギング中に段差に躓き受傷した.いずれも膝蓋腱上部の陥凹を認め,MRIにて確診した.合併損傷はなく,手術にて膝蓋腱をpull out法にて修復した.術後は3週間シリンダーキャスト固定の後,可動域訓練を開始した.2例とも膝関節屈曲可動域の獲得に時間を要したが術後3ヶ月時にはほぼ正座も可能となった.最終観察時,伸展筋力の低下はなくADLに支障はない.本症例はまれな外傷であるが,治療に関しては修復術が基本であると思われる.術後療法は遅らさざるを得なかったが結果は良好であった.

  • 阿部 徹太郎, 坂口 満, 生田 拓也, 工藤 悠貴
    2019 年 68 巻 1 号 p. 143-145
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    高齢者の鏡視下半月板切除術では術前の変形性膝関節症(以下OA)の程度により,術後成績が左右されるという報告が多い.今回,70歳以上の高齢者に施行した鏡視下半月板切除術のうち,術前X線評価でOA変化を認めなかった症例の術後成績を検討したので報告する.対象は当院で手術を施行した205例で,年齢は平均75.3(±4.38)歳,男性109例,女性96例であった.術後追跡期間は平均9.0ヵ月であった.受傷機転,Mc Murrey test,鏡視下での半月板損傷の形態,軟骨損傷のグレード,術後成績,追加治療の有無等について調査を行った.77例(37.6%)で外傷機転を有し,173例(84.4%)はMc Murrey test陽性であった.61例(29.7%)で鏡視下に軟骨損傷の合併を認めた.144例(70.2%)で術後症状の改善を認め,2例で術後TKAを施行した.軟骨損傷を伴っている症例では症状の改善率は低い傾向にあったが,人工関節等の追加治療を要する症例は少なかった.OA変化が乏しい高齢者の膝関節痛の原因として半月板損傷は考慮すべき重要な疾患である.

  • 白濵 善彦, 平川 洋平, 南谷 和仁, 橋田 竜騎, 志波 直人
    2019 年 68 巻 1 号 p. 146-149
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    健常人に発生した比較的稀な膝蓋腱断裂の一例を経験したので報告する.症例は33歳男性,既往歴は特になし.駅の階段で足を滑らせ右膝屈曲位で着地した際,激痛があり他院に救急搬送される.右膝蓋腱断裂の診断にて翌日当院に紹介となった.身体所見上,右膝蓋腱部に陥凹を認め右膝自動伸展不能であった.単純X線側面像にて右膝蓋骨高位を認め,入院より3日後に手術を行った.断裂部は膝蓋骨下極よりやや遠位の実質部であり,断裂膝蓋腱の遠位断端にkrackow sutureを行い膝蓋骨に骨孔を作成し,膝蓋骨近位で縫合し,さらに補強として人工靭帯を用いた.術後10ヵ月の現在,可動域制限を認めず経過は良好であった.

  • 稲光 秀明, 花田 弘文, 藤原 明, 山口 史彦, 熊野 貴文, 久保 勝裕, 原 道也
    2019 年 68 巻 1 号 p. 150-153
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】若年者に生じた膝蓋大腿関節広範囲膝離断性骨軟骨炎の一例を経験したので報告する.【症例】14歳男性,3か月前より左膝痛あり,次第に疼痛腫脹が増強し,近医で数回関節穿刺され黄色関節液を認めていた.安静後症状改善していたが,バレーボール中にジャンプ後,左膝に激痛を認め歩行困難,屈曲伸展困難となり当院受診.初診時に腫脹,屈曲伸展制限を認め,穿刺し血性関節液を認めた.単純X線は特に異常所見は認めず,MRIで膝蓋大腿関節の大腿骨側に巨大な欠損像,前方に骨軟骨片が遊離していた.受傷1週間後に手術施行.直視下に42×25mmの遊離骨軟骨片を認め,母床を掻爬後に遊離骨軟骨片を整復し,頸骨内側から採取した骨釘6本で固定し,若干不安定性を認めたので,3本のPLLAピンで補強した.【考察】若年者の広範囲の膝蓋大腿関節の膝離断性骨軟骨炎は稀で,生活環境,スポーツ環境などを吟味し治療法や手術を検討する必要がある.

  • 松尾 拓, 上田 幸輝, 山名 真士, 伊東 孝浩, 烏山 和之, 内村 大輝, 水城 安尋, 萩原 博嗣
    2019 年 68 巻 1 号 p. 154-156
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    38歳女性.初診数週間前より徐々に左膝痛出現.初診1週間前,階段昇降中に左膝の屈伸制限が出現.前医で半月板損傷に伴うロッキングが疑われ紹介となった.膝窩部に疼痛があり可動域は伸展-40°,屈曲135°でMcMurrayテストは陰性.MRIで半月板の損傷はなく,脛骨近位後面に50mm大の腫瘤を認め,これによる伸展制限が疑われた.初診7日後の造影MRIで,T1強調画像で不均一な高信号,T2強調画像で高信号と低信号が混在し,腫瘤内に造影効果なく,血腫が疑われた.保存加療を行い,超音波検査によるフォローで経時的に血腫は縮小し独歩可能で,伸展制限も軽快した.膝窩筋内の特発性血腫を疑ったが報告がなく,画像所見が外傷性膝窩筋断裂に伴う血腫と類似していた.報告では外傷性膝窩筋断裂は明らかな外傷機転を伴うが,本症例では日常生活で徐々に膝窩筋の断裂を起こしたものと思われた.若干の文献的考察を含め報告する.

  • 太田 真悟, 古市 格, 村田 雅和, 小河 賢司, 杉原 祐介, 朝永 育, 野中 俊宏
    2019 年 68 巻 1 号 p. 157-159
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    小児に生じる脛骨粗面骨折は比較的稀な症例である.我々は小児脛骨粗面骨折の2例を経験したので報告する.【症例】症例1.14歳男児.サッカーの試合でボールを蹴った際に相手と接触し受傷.受傷同日にCCSにて観血的整復固定術を施行した.症例2.16歳男児.サッカーのゴールキーパー.ボールを止めようとして膝関節を捻って受傷.受傷同日に膝関節MRIを施行し,靭帯や半月板損傷がないことを確認した.受傷翌日にCCSにて観血的整復固定術を施行した.2例ともに術後6週間ニーブレス固定とし,現在は膝関節可動域に制限なく後遺症も認めない.【考察】本骨折では2通りの受傷機転が考えられている.1症例目は大腿四頭筋が緊張した状態に強力な膝屈曲力が生じたもの,2例目は膝屈曲位で足が固定された状態に強力な大腿四頭筋の収縮力が生じたものであると考えた.

  • 竹山 文徳, 田中 祥継, 山本 卓明
    2019 年 68 巻 1 号 p. 160-162
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    手指における弾発現象は日常診療でよく見られるが,肘関節での弾発現象を伴う弾発肘は比較的まれな疾患である.今回外傷を契機に発症した弾発肘の一例を経験したので報告する.(症例)45歳,男性.風呂場で転倒し左肘を強打.前医にて骨傷を認めず,2週間のシーネ固定となった.その後作業時の肘痛が残存し,数ヶ月後の再診時に弾発現象を認めたため当科紹介となった.当院初診時,肘関節伸展0°屈曲135°回内80°回外80°,内外反動揺性は認めない.回内外に依らず屈曲110°で橈骨頭周囲に疼痛を伴う弾発現象を認めた.単純X線,CTにて明かな異常所見を認めず.超音波検査では,肘関節屈曲時に腕橈関節前方で軟部組織が急激に肥厚する弾発現象が観察された.弾発肘と診断し受傷より約4ヶ月後に手術を施行した.腕橈関節を観察すると肥厚し硬化した輪状靱帯が嵌頓している状態であったため切除した.術後6ヶ月後の現在,疼痛及び弾発現象なく経過は良好である.

  • 安部 幸雄, 髙橋 洋平, 藤澤 武慶, 末冨 裕, 田邨 一訓
    2019 年 68 巻 1 号 p. 163-165
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】Wartenberg症候群は腕橈骨筋―長橈側手根伸筋腱間から表層に走行する橈骨神経浅枝の絞扼性神経障害である.今回,同側手の外傷を契機に発症した Wartenberg症候群の3例を経験したので報告する.【対象・結果】症例は男性2例,女性1例,平均年齢は52歳.先行する外傷は第2~4中手骨骨折,前腕遠位橈側の切創,橈骨遠位端骨折であった.Tinel signは全例,橈骨茎状突起から7~8cm中枢に認めた.受傷後早期に発症し,発症後2~20か月,平均8.7か月にて手術を行った.術後,速やかに症状は消失した.【考察】Wartenberg症候群は前腕遠位橈側から母指,示指背側にしびれ,疼痛を生じる疾患として知られているが,その報告は少ない.外傷を契機に発症した理由は浮腫,リハビリなどにより絞扼が生じたと思われるが明らかではない.神経剥離の結果は良好であった.

  • 久保田 悠太, 二宮 直俊, 松本 博文, 仲摩 憲次郎, 赤瀬 広弥
    2019 年 68 巻 1 号 p. 166-169
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】橈骨手根関節脱臼は比較的まれな外傷で,大半が橈骨茎状突起骨折を伴っている.その1症例について考察を加え報告する.【症例】28歳,男性.原動機付き自転車運転中に軽トラックと衝突し受傷した.単純X線・CT像で橈骨茎状突起骨折を伴う右橈骨手根関節背側脱臼を認めた.受傷4日目に観血的手術を行った.橈骨茎状突起骨片をheadless compression screwで内固定し,断裂した掌側関節包を縫合した.術後6ケ月で手関節可動域,握力は回復した.【考察】橈骨手根関節脱臼骨折は骨折部位や靱帯損傷を画像的・肉眼的に評価し,正確に整復することで良好な治療結果に結びつくと考えられる.

  • 富田 雅人, 宮田 倫明, 野村 賢太郎, 熊谷 謙治, 尾﨑 誠
    2019 年 68 巻 1 号 p. 170-172
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    [目的及び方法]1998-2017年に当科で診療した原発性悪性骨腫瘍の患者数を調査し,これらを前期群(1998-2007年)と後期群(2008-2017年)に分けて比較検討した.[結果と考察]1998-2017年の間に当科に於いて診断治療を受けた原発生悪性骨腫瘍の患者数は99例で平均年齢は50.0歳であった.診断毎の症例数を前期群と後期群に別けて比較すると(前期:後期),骨肉腫は27:18例,傍骨性骨肉腫 3:1例,軟骨肉腫 12:15例,Ewing肉腫 3:4例,骨MFH/UPS 2:0例,骨平滑筋肉腫 5:1例,放射線照射後肉腫 0:3例,脊索腫 3:2例であった.骨原発悪性腫瘍は稀少疾患でありその発生数の推移は余り良く知られていない.近年の人口構成の高齢化に伴ってがん患者数の増加が社会問題化しているが,当科に於いて約20年に骨原発悪性腫瘍の患者数の増加はみられなかった.

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