整形外科と災害外科
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洗浄機能付き局所陰圧閉鎖療法を用いて治療を行った方形回内筋化膿性筋炎の1例
白井 佑大茂 壽久鈴木 正弘江副 賢生蒲地 康人長島 加代子古子 剛濱田 賢治大友 一清水 健詞田原 尚直
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2019 年 68 巻 1 号 p. 82-84

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抄録

化膿性筋炎は骨格筋を感染の主座とする亜急性の細菌感染症で,局所的な膿瘍形成を生じ,主に下肢に好発する.今回,方形回内筋内に生じた化膿性筋炎を経験したので報告する.症例は82歳男性で,既往歴にはコントロール良好な糖尿病があった.転倒した際に左手をつき受傷し,受傷後3日目に当院を受診した.血液検査では炎症反応の著名な上昇を認め,MRI検査にて方形回内筋内に膿瘍を確認し,同日緊急に洗浄デブリドマンを実施した.その後感染が鎮静化するまでは,IW-COMPITとNPWTi-dといった洗浄機能付き局所陰圧閉鎖療法を用い創を持続的に洗浄し,感染が落ち着いてからはNPWTを用い創治癒を促進した.その間7回の洗浄デブリドマンを実施し,分層植皮にて創閉鎖を行った.NPWTi-dはIW-CONPIT(感染期)からNPWT(感染消失期)への移行を円滑に行うために有用な方法であり,また軽量かつコンパクトな装置のため患者や医療従事者の負担やストレス軽減のために有用である.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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