整形外科と災害外科
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悪性軟部腫瘍切除後に生じた遅発性感染例の検討
岩永 隆太三原 惇史村松 慶一伊原 公一郎
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2019 年 68 巻 2 号 p. 185-189

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抄録

(はじめに)悪性軟部腫瘍切除後には,皮弁や筋弁を行っても死腔が残存し難治性の漿液腫となる場合がある.術後腫瘍切除部に遅発性に感染をきたし切開排膿を要した3例を検討した.症例1 67歳男性.大腿発生粘液線維肉腫に対し広範切除+術後放射線治療を行った.術後5ヵ月,誘因無く発熱,腫瘍切除部の発赤・腫脹・疼痛を自覚した.4日後に当院受診,同日切開排膿を行い症状は軽快した.症例2 83歳男性,大腿発生脱分化型脂肪肉腫.術後2年,切除部の発赤腫脹発熱があり1週間後受診.同日切開排膿,以後再燃無し.症例3 75歳女性,腋窩発生MPNST.術後2年,切除部の発赤腫脹発熱があり1週間後当院受診.同日切開排膿,以後再燃無し.(考察)死腔が残存し同部位に放射線治療を行うと組織が線維化し,術後数ヵ月~数年経過しても遅発性に感染する例があるため注意を要する.早期発見し,躊躇なく切開排膿行うことが必須である.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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