2019 年 68 巻 2 号 p. 229-232
【はじめに】腓骨筋腱脱臼は外傷性腱脱臼の中では最も多いとされているが,足関節捻挫として見逃されることがある.今回我々は足部外傷後に生じた恒久性腓骨筋腱脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】63歳男性.3年前仕事中に足部が荷物の下敷きになり受傷.某医受診しリスフラン関節脱臼骨折の診断にて骨接合術を施行された.その後も足関節周囲の疼痛が持続するため当院紹介受診.足部は内反し徒手整復不可能な腓骨筋腱脱臼を認めた.単純X線には外果外側に裂離骨折を認め,MRIにおいて脱臼した長短腓骨筋腱と周囲に仮性嚢を認めた.恒久性腓骨筋腱脱臼と診断し腓骨筋腱制動術,腓骨筋腱縫合術を施行した.後療法は術後6週間シーネ固定,免荷,その後サポーターに変更し可動域訓練,荷重開始した.術後は経過良好で再脱臼を認めていない.