整形外科と災害外科
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妊娠後骨粗鬆症により多発椎体骨折をきたした2例
日高 三貴李 徳哲濱中 秀昭黒木 修司比嘉 聖川野 啓介永井 琢哉関本 朝久帖佐 悦男
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2019 年 68 巻 4 号 p. 656-660

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抄録

【はじめに】妊娠・出産に伴いCa喪失やエストロゲン分泌低下などの内分泌環境の変化により骨量は生理的に低下するが,稀に若年にも関わらず高度な骨粗鬆症を呈する場合がある.出産後に多発椎体骨折をきたした2例を報告する.【症例1】40歳,第2子普通分娩2ヶ月後,多発椎体骨折により強い腰痛を自覚し,腰椎YAMは70%,TRACP-5Bは著明高値であった.断乳とテリパラチド連日投与18ヶ月で腰痛や新規骨折なく,腰椎YAMは9% 増加した.【症例2】28歳,第1子普通分娩5ヶ月後に多発椎体骨折により歩行困難となり,腰椎YAM 56%,尿中NTXは著明高値であった.断乳およびリセドロネート内服4ヶ月で尿中NTXは正常範囲に低下し,内服32ヶ月で腰痛はほぼなく腰椎YAMは22% 増加した.【考察】両症例とも腰痛は速やかに改善したが,YAM改善に時間を要した.安全な育児を可能にし,今後の脊柱変形を予防するには断乳のみでは不十分で,適切な薬物療法が必要であることが示唆された.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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