整形外科と災害外科
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石灰沈着性頚長筋腱炎の1例
安部 大輔今澤 良精河村 誠一瀬尾 健一麻生 龍磨橋口 智光市ヶ谷 憲
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2020 年 69 巻 1 号 p. 190-194

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抄録

【はじめに】石灰沈着性頸長筋腱炎の1例を経験したので報告する.【症例】49歳男性.2日前より誘因なく頚部痛出現.嚥下時痛,頸部可動制限,38度の発熱も認めたため当院救急外来を受診.採血にて炎症反応上昇,単純X線にて咽後部軟部陰影の増強,単純CTにて軸椎前方に石灰化像を認めた.内科医診察にて髄膜炎は否定されたが,何らかの感染症の可能性があり入院,抗生剤加療開始.翌日整形外科に対診.耳鼻科対診したが咽後膿瘍は否定された.化膿性脊椎炎の除外のため単純MRIを施行するも,椎体や椎間板に異常信号は認めず.石灰沈着性頚長筋腱炎と診断し,抗生剤終了,NSAIDs継続,頚椎カラーによる局所安静を継続した.症状は速やかに軽快し入院後6日目に退院された.【考察】本疾患は比較的まれであるが,特徴的な画像所見で診断でき,保存加療で軽快するため,急性頸部痛を来す鑑別疾患として重要である.単純CTでの軸椎前方の石灰化像が特徴的である.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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